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いつだって(山本+5、6)


中学時代。高校時代。

いつだって全力で野球をしていたという貴方。
いつだって、ボスとバカやってはしゃいでいたという貴方。


いつからか、そんな遠いところにいらっしゃる貴方の
写真を見るのが楽しみでした。


クラスメイトに訳隔てなく笑顔で接する人気者。
スモーキン・ボム。もとい、隼人とは人気を二分していたらしい。

…とその体躯に似合わずニヒルな笑みを浮かべる情報提供者に聞いた。


そして、彼らは此処『イタリア』にやってきた。



抗争により滞っていたボスから来た久しぶりの仕事は裏の物も合わせればかなりの量だった。

これでも、ヴァリアーや幹部達よりは少ないという噂…。
頑張らなくては。
そのため、三食も睡眠も厭わず没頭するしかなかった。

「少しは寝ておけばよかった」と思いつつ未だ大量の書類がのった机につっ伏していた。

…数分経った後に誰かの気配が近づいてきたのが分かり顔を上げる。

「よっ、名前!!…って、顔色悪いぜ?」

「おはようございます、山本さん。…そうですか?」

「まだ敬語外れてくんないのな。シャマルのとこ連れってってやろうか?」

「あ。すいません!!癖なので、つい…。
だ、大丈夫なので!!任務に行ってください。」


急に立ち上がったのが悪かったのだろう。

一瞬周りが黒く塗りつぶされフラリとよろけてしまった。


心配をかけてしまっただろうか?
相手の顔を見ると無表情。
いつもの笑顔が消え失せている。

「…ったく、仕方ないのな。それに、さっき任務は終
わらせて来たぜ。」

宙に浮いたと思ったらひょいと私を担ぐ山本さん。

「えっ!?」

「ははっ、驚いた顔初めてみたのな。…そう思うだろ、ツナ?」

「そ、そうだね…。っと、名前ちゃん。無理は禁物だよ?」

「ボ、ボスまで!?」

「あれ?俺ってそんなに存在感薄い?…それと、ツナって呼ぶように言ったはずだよね。」

「いえ、二人分気配は感じてたんですけど…。…ツ、ツナさん。」

「…けど?…まぁ、いいや。」

神妙な面持ちの後に苦笑いへとコロリと表情を変えたボ、…ツナさん。

「リ、リボーンさんまでいらっしゃるとは思ってなくて」

「…あ。うん。」

「今頃、気づいたのか。おい、山本。シャマルならもういるぞ。さっさと連れてけ」

抱えなおすと執務室から駆け出していく山本さん。

「分かってるのな…。」

……5分後。

「ただの疲労と貧血だな。栄養ちゃんととらなきゃ駄目だぞ…?
あと、あんまし心配かけんなよ。」

ワシャワシャと頭を撫でてくる幼少期からお世話になっているDr.シャマル。

「髪がぐしゃぐしゃになるじゃないですか…。」

久しぶりに会った親同然のその人に笑みを浮かべる。

「…ったく、そういう笑顔は他の奴に向けてやれよ。」

「へ?」

「ジェラシーの視線が突き刺さっていてーんだな、コレが…。」

溜息をつく姿が様になっている。
さすが、イタリア男。
仕草の全てにおいて色気を醸し出してる…。

「さてと、俺はこれからジュリアちゃんとデートだからよ。自分の心に素直にな。」

「もう、餓鬼じゃないから!!」

ハートマークを撒き散らしパタンと扉を閉めたシャマルに溜息をつく。

「そういえば、嫉妬って?」

「それ、多分俺の事なのな。」

すっかり忘れていた山本さんの存在を思い出す。

頭が急速回転して計算し、
答えを導き出そうとするが上手くいかない。

「…ははっ。迷惑か?」

寂しげな笑みを浮かべられてツキリと心臓に痛みが走る。

「え?…あの、迷惑じゃないと言ったら図々しいですか?」

「ほんとなのな?同じ気持ちって事でいいのか!?」

「…っ、はい!!」

返事をすると同時に抱きしめられて額と鼻の頭にキスを落とされる。

「好き。いや、愛してるのな。名前!!」

「わ、私もです。山本さん。」





山本side.


…それから、数ヵ月後。

ひらりと預けられた手帳から落ちてきたソレを偶然、山本は拾い上げた。

「…これって、俺なのな!?…ん、あれ、そういえば。
小僧が大切な奴への叱咤激励だったかなんとかで写真撮ってたのなー…。」

席を外していた名前が戻ってきて顔を真っ赤に染め上げた。

「…へ!?え!?なんで!?は、恥ずかしい。」

「これ、名前のためだったのな。
…あとよ、俺も名前の写真持ってるんだぜ?」

ひらひらと写真を見せる。

「えっ!?」

また、赤くなる君に少し面白くなって笑みを浮かべる。

「前にディーノさんと日本に来てたんだろ?そん時に一目ぼれしちまって…。」

自分の頬も熱を持ち始める。

「…武!!だ、大好き…です!!」

ぎゅっと抱きついてきた名前を抱き返した。



〜小話〜
「ちょっ、山本!?ここ、俺の執務室だからね!?」
「さっさと仕事しろダメツナ。脳天ぶちぬかれてーのか。」
「ひっ!?…や、山本。何か報告あったんじゃ?」
「あ、忘れてたのな!!ツナ、俺ら婚約して結婚するのな!!」
「お幸せに、二人とも」





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あきゅろす。
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