4.銀時
―…いつも隣にいた。
ずっと、ずっとかけがえのない存在。
それは、松陽先生を失い。
自らのたぎる血で、ババアを守ると決めた。
同志は別々の道を歩む中で俺を理解し、
また俺もあいつを理解していると思っていた。
あいつは俺を選んだ。
だから、俺についてきたんだと思った。
「ねぇ、銀時。
…ちょっと、万事屋銀ちゃん。
…坂田銀時!!天パ!!白髪!!激甘党!!糖尿病寸前甘党野郎!!」
お洒落をした、ソイツにたたき起こされる。
「いやそりゃ、俺は天パだよ!?
けど、これは白髪じゃねぇ…!銀髪だ、銀髪。
それによう…、名前、もっと言い方ってもんがあんだろ!?」
「だって、起きないんだもの」
「で、用はなんだよ…」
「せっかく、人が誘惑して土方さんから貰ってきたのに酷いのね?」
「は?何、誘惑したのか…。そーか、そーか、
ってえぇ!?お前なー、そんな不埒な事お父さんが断じて許しません!!
あ、つか、お前に多串くん誘惑出来るはずねぇじゃねーか」
「あは、バレた?」
「で、お前のその格好は?」
「今から、沖田くんとデート。
あ、神楽ちゃんには内緒ね?」
「へー、ふーん。
名前は、俺とのデートすっぽかす訳か」
「だって、あんたといると碌なことがないでしょ?」
ゆったりと口角をあげて微笑むアイツは、見知らぬ女の様な気がした。
「…まぁ、そうだろうよ」
「あぁ、後ね…。
私、花魁の手伝いに行く事になったから」
「…そうか…、ってはぁ!?」
「じゃあね、銀」
昔と変わらない笑顔のはずだ。
それなのに、あいつの背中はいつのまにか平凡な日常に混じっていて眩い。
そう感じた。
きみを一番理解してるつもりだったけど
手が届かなくなる前に、君を理解すればよかった。
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