ポーカーフェイスを装って(レギュラス)
「また、あの愚兄を見てるんですか」
スリザリンで変わり者だと揶揄されてる窓際の女の子。
彼女がそうやって同寮生から言われるようになった所以は様々だった。
純血だろうが、半純血だろうが、穢れた血でも態度は変わらない。
彼女、名前・苗字はブラック家に次ぐ名家の生まれ。しかも、次女だという。
そして、彼女の姉もまた僕の兄と同じようにグリフィンドールへと入ったらしい。
だから、同じだと思った。そのはずだった希望は簡単に打ち砕かれた。
何気なく近づいて友達になった。
「だめ?」
「駄目じゃないです。見惚れないで下さい。
僕を馬鹿にしてるんですか?」
「そっか。仲が悪いんだもんね」
「それに、あいつらからまた悪戯を仕掛けられたって聞きました。スネイプ先輩の代わりに」
「先輩が引っ掛かる前に解除したかったんだもの」
僕はそんな友達に惚れていると気が付いた時、
名前の視線の先にはその姉と僕の愚兄がいる事に気が付いてしまった。
羨んでないと口にしても、それを渇望し目はそれを追っていた。
「兄に近づいても無駄ですよ。スリザリンというだけで警戒されるだけです。」
「ん、何かあったら助けに来てね?」
本に集中して顔を上げない名前の手を引っ張っていく。
「あなたがそう望むなら助けに行きます……」
中庭で人ごみを避けながら進んでいく。
いきなり止まったせいで彼女が僕にぶつかってしまった。
「どうかしたの?」
「あなたの大好きな僕の愚兄ですよ」
さっと僕の後ろに隠れてその無表情な色白の顔に少しだけ頬に紅を差し彼女は様子を見守るだけだった。
「道を変えます。あいつらに関わり合いになりたくないですから」
「うん」
少し悲しそうな声色に、彼女はきっとこれからもあいつに恋をしていくのかもしれない。
そう確信に近いなにかを感じて眩暈がした。
僕らしくもない。
表情を隠して、僕は恋に蓋を閉じた。
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