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隣合わせ
【背中合わせの続き】






ホグワーツ最終決戦で、彼は亡くなった。
セブ。どうして私は隠されたまま惨状を見ていなければならなかったの。

看取ったのはハリーらしかった。
セブは最後にリリーの瞳に見られながら死んだ。
それだけで、もしも、彼が幸せだったのであれば私は嬉しかった。


それなのに、私は自分でそう言っていた通りに呼吸困難に陥った。



全ての中心があなただった。





***side ハリー


唯一、ボロボロになっていなかった地下室の扉を開く。
頑丈だったのか、それとも、魔法で守られてたんだろう。そう結論づいた。

「っ……あぁ、ハリー。どうかしたの?」

ホグワーツは少しずつ修繕作業が進んでいた。
戦禍を被った場所から瓦礫を取り除く。
少しずつ元の姿を取り戻しつつあった。

母と同い年で、父さんやシリウスとルーピン先生と同じ寮。
シリウスはあまりいい顔をしてなかったけど、ルーピン先生は彼女に好意的だった。
あまりルーピン先生に、彼女、名前は親しくしてる感じはなかったけど。


彼女は今も、最も勇敢だったあの人に囚われてる気がした。


「あの、僕の母について教えて下さい。
僕、スネイプ先生に記憶を託されたんです」

「…どんなだった?」

「母の姿と…、先生に寄り添うあなたの姿が映った…」

「前にもセブのトラウマに触れてしまった事あるでしょう?」

「…僕はそれで、父さんへの見方が変わったんです…」

「そっか。私からも教えるべきかしら?」

動揺してる彼女は酷く儚く僕の目に映った。

「あなたは先生と恋人同士だったんじゃないんですか…?」

「さあ?彼が愛してたのはリリーだもの。……死ぬとき、何か言ってた?」

「名前をって…、彼はずっと呟いてました。
それから、僕の瞳を見てリリーって。静かに息を…」

「そっか。身を隠させて閉じ込めたのは彼なのにね…。
卑怯者なんかじゃないって誰かが知ってくれてれば嬉しいの」

「あの、僕のおばさんになってくれませんか?」

馬鹿なお願いだと思っても聞いてみた。

「私なんかがなったら、あなたの名づけ親に呪われちゃうわ。
年上のお友達。そういうのはどうかしら」

「…わかりました。憂いの篩の右から二番目の棚にセブルス・スネイプの記憶としてしまわれてますから」

「ありがとう、ハリー。あなたはリリーと、
…くしゃ髪くん…じゃなかった、ジェームズによく似てる。
仲間を大切にするところとかね」



その日以来、彼女が僕の目の前に現れることはなくなった。
ホグワーツも去ったらしい。
そのかわりに、過去を記した手紙がいつだったからか届き始めた。

傍観者から見た彼らの話。
そうやって切り出されて毎日、梟便が飛んでくる。

何年か経って最後の手紙が届いた。



『今は、平和かしら。みんな勇敢だったと思う』



それは、ホグワーツ最終決戦から数か月後の日付で記されていた。


『天寿を全うする時が来たみたい。あなたの母さんたちに会ってくるわ』














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あきゅろす。
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