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背中合わせ 4








それから暫くしても茫然自失の状態が続いた。
意識は彼に向かうばかり。

食事も、食欲が沸くというわけではなくてただ流し込んで腹を膨らませるだけ。
以前と同じ成績を魔法薬学のみは保っていた。
セブに教えて貰わないと、どうやら私には落第の危機が待っているようだった。

そのセブはどうやらスリザリンの人と少し前から交友が始まったようだった。
時々、輪の中にも少しは混じっている姿を見かけると嬉しくも寂しくもなった。
赤毛ちゃんとの関係は、ぎくしゃくし始めているみたいだけどね…。
赤毛ちゃんも闇の魔術を快く思っていないらしい。
それに、彼ら側からの攻撃で何人かの寮生が怪我を負い憤慨していた。
セブの耳に届いていても、妄信的に闇の魔術へのめり込んでいる彼は耳も貸してないだろう。


話そうにも話せない。
そんな状況が続き6年生になって、最高学年の7年生にまでなってしまった。


相変わらず、変わらない生活を送っているのかと問われれば少しだけ変わった部分があった。
病弱くんこと、リーマス・ルーピンが稀に話しかけてくる事が増えた事。
それから、彼の秘密を知ってしまった事。
話しかけてくる事について、マクゴナガル先生に頼まれたのかと思っていた。
それなのに、彼女に尋ねても違ったみたいだった。

セブと私の関係悪化は瞬く間に広まったし、
まあ、殆どの時間を一緒にいたのに急にそれがなくなれば喧嘩別れとか噂もたつだろう。

彼の友人と私の浅さかな行為にあるんだ。
それを謝ろうにも、セブの新たな友人達に妨害されるし、進展はない。
むしろ、ルーピンが話しかけに来ることによって機会を逃して悪化の一途。

「名前、君はホグズミートにいかないのかい?」

彼の真意はさっぱり謎だった。
見かける度に声を掛けてくるから、寮の中に籠もりがちになった。
今日も今日とて、提出し忘れた課題を出しに少し寮から出ている間に戻ってきていたらしい4人とかち合わせた。

「何故、行かなければならないの?セブルスと行く事ができないのに」

ホグズミートまで出向いたのは1度きりだったと思う。
3年だったか、4年だったかの一度だけ。……不機嫌なセブと一緒に。

「お前とスニベリーに、友人関係は見られないようだけどな」

「ブラックは黙っててもらえません?
あなたはあなたの発情猫達にだけ話しかけてればいいのよ」

悪質な悪戯を仕掛けた諸悪の根源を睨みつける。

「4対1だぞ、そんな態度でいいのかよ?」

「よくても、3対1か…2対1。監督生に傍観者は抜きでしょう?」

人差し指でペティグリューとルーピンを指差した。
それだけで、肩を異様にビクつかせた彼に含み笑いしていたのが零れる。

「あ、あと、ポッター。赤毛ちゃんじゃなかった…リリーと付き合うんだって?」

「やっと念願叶って愛しい人は僕のものさ!存分に祝ってくれ!
リリーが君を気に掛けてるんだ」

「へぇ、そう。なら、あなたがリリーを気に掛けて私からの注意逸らしておいてよ。
ついでに、貴方達が嫌いなセブの居場所をその羊皮紙から教えて貰いたいのだけど…。ねぇ、ルーピン」

「スニベリーと何かすんのか?」

「バカな事を言っちゃって後悔してる彼を励ましに」

ルーピンが羊皮紙を見せて、ここだと場所を示したのは湖の傍。

「ブラックには感謝しないけど、あなた方には感謝するわ。
背を向けたからって攻撃はなしよ。フェアじゃない」



そう言ってから、走って湖のほとりまで行く。
セブルスは地図にあったように一人だった。

ぽつりと虚空を見つめ座ってる。
初めて会った時とは似て非なる光景。



「セブ。久しぶりに、背中貸してもらえる?」

近づいて、近づいて、やっと声を掛けた所で彼が私の存在に気付いた。

「!?…何しにきた」

「仲直り」

「忌々しいブラックがどこかに隠れているんだろう」

「2年くらい前のここでの出来事は、全て誤解」

「仲睦まじく喋り抱きしめられておいてか?」

「それも誤解。私が好きなのはセブルス・スネイプっていう陰気で闇の魔術と魔法薬学に長けてる人だから。
ああ、誰を愛していても構わないのよ?
…私が一方的に恋焦がれてるだけだもの、ずっとね。
できれば、傍にいたいし死喰い人にさえなってもいい。
闇勢力のボスに忠誠を捧げるつもりはないけど」

言っていてむしゃくしゃしてきた。
…闇の魔術はあまり好きではないけど、セブと居られるならと七年間少し勉強していた。こっそりと。
だから、ある程度は役に立てるだろう。


「貴様は、貴様の道を行けばいい」

「なら、共に荊の道をくぐっていく事にするわ。
ああ、転職するときは言ってね?」

「勝手にしろ。あの方の元で貴様が死のうが関係ない。
だが、腕に印が刻まれるのだぞ?死喰人としての一生隠しきれない証が…」


その言葉を契機に、背中へともたれかかる。

「傍にいるためにはなんだってする。今日だってそう。
もうすぐ、卒業だしあなたの元に永久就職するつもりだから!
もしも、印をつけられた時はあなたとのお揃いって考えるわ…」

「浅はかなその思考を述べているのを聞くとこちらまで馬鹿になりそうだ」

「これでも、魔法薬学以外は意外と優秀な成績でO.W.LとN.E.W.Tに合格してるのに?」

「ならば、頭のネジが外れているのだろう」

「なら、あなたの目は節穴になってるのね」












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