ぽっかり空いた穴が埋まった(シリウス)
愛してる。
嘘まみれの言葉を何度も吐いた。
けれど、ぽっかり空いた穴は大きくてその言葉の欠片は抜け落ちていく。
そんな俺は、愛を知った。
慈愛とかじゃない。友愛でもない。
どこかチョコのようにどろりとしたその感情が流れ込む。
意中の相手である名前に愛を囁く事が日課になった。
愛してる。
そう囁けば、「嘘つき」とだけ返された。
好きだ。
そう言うと、「嘘つき」と返された。
愛らしいその顔に、少しばかり控えめな笑みをのせて。
気のない相手の返事に苛立った。
大抵は俺の好みによるけど、落ちない女はいないから。
傲慢?これが俺なんだ。
それなのに、見向きもしない彼女にやはり惹かれていった。
俺がくっついていると『百害あって一利なし』だと言われても俺は彼女の隣にいることを止めなかった。
けど、3日間顔を出さない名前。
その行方を捜すも見つからない。
退校したわけでもないのに、休み続けている。
帰省してるとかだろうか?長期休暇でもないのに?
隣と心に、穴が開いた。
「なぁ、プロングス」
「なんだい、パッドフット」
「名前、知らねぇか?」
「リリーに聞いたらすぐにわかるんじゃないかい?ああ、愛しのリリー!
名前って子知ってるだろ?その子どうしてる?」
「あら、ポッター。ようやく他の子に目移りしたのね。
名前については、あまり話したことがない子だから何も知らないわ」
ムーニーにワームテールまで話に加わってやんや、やんやと騒ぎ立てる
「そ、そういえば、その子ってどんな子だったけ」
「あんまり印象に残るような子じゃないけど。
文武両道で、誰かさんが手を出すまでは平和に過ごしていたと思うよ」
「なんで、ムーニーがそんな事を知ってんだよ!?」
「その子の友達から相談を少しね。といっても、彼女の従弟らしいけど」
「その従弟も学校を休み中なんだ。心配することなんて何もないだろ」
「だあああああっ。くそっ!!!散歩してくる」
「恋煩いも分からないのか、僕の親友は」
「そうみたいだね、あのプレイボーイが」
「ま、待ってよ、シリウスー!」
「ワームテール、今はそっとしておいてあげないと」
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