無償の愛(シリウス)
【※愛ってなぁに?、10minute agoの続き】
「名前、話がある」
「どうかした…?随分、声が真剣だけど…」
月明かりの下で名前は椅子に座っていた。
何処から取り出したのか、本から顔を上げて此方を見つめてくる。
名前の所からは俺の姿は暗闇に紛れているらしい。
「え、なんで」
近づいて彼女の唇に軽く口付けを落とす。
「好きだ。他の奴に渡したくねぇ…」
視線を泳がせ明らかに動揺している相手の目を見据える。
「好きな人がいるんじゃなかったの…?それに…」
「お前の気持ちが誰に向いていようが関係ねぇ」
「本当に?ねぇ、悪戯だったら呪い殺してやりたいくらいなの」
彼女を抱きしめれば、甘い香りが鼻腔を擽る。
「名前が好きだ」
「うん」
「だから、ああやってしか俺は触れられなかった」
「うん…。ねぇ、怪我したの?」
唇の横をツーッと指で触れられて、痛みで身を引いた。
目前の名前は笑ってる。
「説教されたんだ。いい加減に気付けってな」
「そっか…。ムーニーらしいね」
「ああ」
「私ね、貴方が好き」
「ああ」
「肝心の言葉は貴方から言ってよ」
「付き合え、名前」
「喜んで。…愛しい人」
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