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幸せ、願う。(沖田)


運悪く。
下校中に友達がトラックに、
衝突しかけたのを持ち前の反射神経を使って助けたはずだった。
友達は助かったからいいものの代わりとして轢かれてしまったらしい。




血が体内から抜けていくとともにブラックアウト。





…あぁ、死んだな。折角、剣道でも師範代になったのに。
そう思って覚悟を決めた。

なのに、目が覚めたと思ったら…。
何故だか見た事もない部屋に寝ていました。

「……ここ、どこ?」

起き上がろうにも腹部にずしりと何かが乗っているらしく、動けない。
その物体が気になって視線を天井からそこに移す。
栗毛色のサラサラとしたショートカットらしき髪に赤い特徴的なアイマスク。
え、嘘。もしかして、もしかしなくても…

「真撰組の屯所でさァ…。」

ニヤリと笑うあなたは大好きな漫画の登場人物なはず。
何故、最も愛する大好きなキャラクターが目の前にいるんですか?

「トリップ…。え、フィクションじゃないの?」

「…なに、ブツブツ訳の分からねぇ事言ってるんでィ?」

正真正銘、沖田隊長が目の前にいます。
夢だよ。うん、そうだろうよ。なんて思って、自分の頬を抓る…。

「い、痛い…。」

「何やってるんでェ!?名前は馬鹿なんですかィ?」

驚いて目を見開いた目の前の人に申し訳なさが沸く。

「なんで、私はここにいるんですか?…それに、名前」

「あぁ、地味に止められやしたが鞄の中を探らせてもらいやした。
それと、アンタは屯所の前にいきなり降ってきたらしいでさァ」

「降ってきた!?まぁ、鞄は探られても文句は言えませんけど…。」

「で、でさァ…。アンタは何者なんでィ?」

「え?」

「疑ってるわけじゃありやせんぜ?
その奇抜な格好といい、攘夷志士という可能性もありやすし念のためでさァ。」

「あ、この格好は制服で、えっと…、攘夷志士ではないです!!」

「なら、いいんでさァ。マヨ方さ…、あ、間違えやした。
土方さんそう言う事らしいんで拷問はやめて下せぇ。」

え、もしかして、拷問されそうだったの!?

「おい、総悟。もしかしたら、ソイツは嘘ついてるかも知れねぇだろうがっ!?」

咥え煙草をしながら障子をスパーン!!とあけて出てきたのは、土方さんだ。
…へぇ、本当に瞳孔かっ開いてる。

「まぁまぁ、トシ。…総悟はこの子が気に入ったんだろう?」

「こ、近藤さん…。」

「簡単に言えばですけどねィ…。剣の腕も良さそうなんで…。」

「…え?」

瞬く間に話が進んでいく。

「手に出来ているソレ、剣を握って出来たタコだろィ?」

「あ…」

「なおさら、危ねぇじゃねえか!!」

「危ないならもうここで全員斬られてるかもしれやせんぜ?…ねぇ、近藤さん。」

「まぁ、そうだな。という訳で名前ちゃん。一番隊隊長補佐をしてくれないかな?」

呆然としている私に微笑みかける近藤さん。

ニヤリと笑う沖田くん。

ぶすくれて不機嫌がな土方さんがこちらを見る。

「…は、はい。」

「よし、決まりだ!!師範代みたいだから安心した
よ。」

「へ…?あ、鞄の中の表彰状か…。」

「物分りがよすぎて怖いと思うのは俺だけですかィ?」

「いや、俺も不思議に思うくらいだよ。なぁ、山崎。」

「え、あ、盗み聞きなんて知りませんよ!!」

「なぁ、名前。一目ぼれって信じやすか?」

「…えっ!?」




「そ、総悟!?/た、隊長!?」

「ちっ、冗談でさァ」




「…これって、いい事?悪い事?」

「幸せを願うから傍にいてやりたいんでさァ」









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