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叶わない、(正一)





「正チャン、いい子紹介してあげるよ♪」


突然、発信が着たかと思ったら…。
ニッコリと何かを企んでいる笑みを浮かべた白蘭さんがディスプレイを通してコチラを見る。
それに、ずり下がりそうな眼鏡を押さえながら溜息をついた。

「…はぁ、そうですか(また胃が痛くならなきゃいいけど。)」

「名前チャン♪こっち、こっち。」

白蘭さんがそう言うと、ディスプレイに同い年くらいの少女が映り込んだ。
容姿からして僕らと同じ日本人だろうか。
けれど、違和感ばかりが胸を突く。

「彼女さ、感情がないんだよねー。つまらないんだ。お人形さんみたいでしょ♪」

座っている状態の白蘭さんが名前さんと呼ばれていた彼女の腰に腕を回す。



…が、反応なんて全くしない。

女性が彼に抱きしめられたら赤面するのが当たり前だと思っていた。

だが、画面の向こうにいる彼女の表情を伺うと瞬きはするものの全く反応しない。

僕は彼女に一瞬で魅入られてしまった。

「でね、正チャン♪彼女をそっちにあげる事にしたから。」

「へ!?…え、えぇぇぇぇぇえ!?」

驚きで後ろに退け反ると勢いが余りイスが後ろに倒れてしまった。

「ちょっ、こ、困りますよ!!白蘭さん!!」
今日何度目かの腹痛が僕を襲う。
キリキリと痛む腹を押さえながらなんとか談判を試みる。

「大丈夫だよ、意思の疎通は出来るから。ね?名前チャン♪」

いつの間にやら白蘭さんの膝の上に座っていた彼女がコクリと頷くのが分かった。

「……はぁ、分かりました。貴方がちゃんと仕事してくれるなら此方で引き取ります。」

「…分かってるよ、正チャン♪あ、でも、感情が出てきたら返してね♪」

「…え、あ…、はい。」

「今日は妙に物分りが良いんだね♪まぁ、分かったんならいいんだ♪
じゃ、また見た書類はデータで送るよ。」

ブチリと空しい音を立てて消えたディスプレイに向かって盛大な溜息を漏らす。
彼女は幾つなのか気になるな。
あ、それと、彼女に似合う服も探さなくちゃいけないんだよな。きっと。
ただでさえ、山積みの仕事とソレに腹の痛みは限界値を超えそうだ。


でもやっぱり、彼女に魅入られてしまったのは事実。

どこからか分からないが俄然、力が沸いてくるのが分かる。


これって、恋って奴なのかな…?
胸の奥でトクリと心臓が鳴るのが分かったが、ブンブンと頭を振る。






きっと、
叶わない恋になるんだろう。
…けど、頑張っても損じゃないかもしれない!!





「よーっし。僕はやるぞ!!あ、君!!このデータを早急に白蘭さんに送っといてくれないか。」



その日、日本支部ではハツラツとしている彼の姿がいつになく見られたとか。





ーーー
gdgdですね…。
正一くんの口調と白蘭さんの口調が変な気がする;;
ファンの皆様、申し訳ないっ。




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あきゅろす。
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