短編小説 愛してる、なんて。 ストレートなパンチを喰らって、ようやく事態は把握された。 ああ、なんて夢見がち。 手を伸ばしても届かない星は数多くあって、 それは星に限らず、愛しい人でも言えること。 君の優しさに惑わされていた。 好きだったよ、本当に。 心の底から言えるよ。大好きだった。 君の幸せな顔を見たことはない。 君の笑った顔、困った顔なら見たことはあるけども。 あの子だけに見せる君の笑顔。 幸せだよな、好きだからな。 ああ、 好きだって気持ちは押し殺して 君らを応援することを、 出来るのか俺は。 ああ、ああ。 優しさに惑わされたんじゃない。 ただ勝手に勘違いしてただけ。 君の態度は、誰にでも向ける態度だ。 決して自分だけのものじゃない。 愛してる、なんて。 [*back][next#] [戻る] |