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短編小説
Without you.
ふとした瞬間、目に入った席。


眩しくも射し込む光りを見つめ、目を細める。



(アイツ、眩しくなかったのか…?)


見つめる先に、古びた机がぽつんと一つ佇んでいた。


(そんなに前のことじゃ、無いんだけどな)


古びた木目の、茶色い机。

机に反射する、眩しい太陽の光。
その光に反射する、

「……野瀬、」


あの眩しく光る太陽の光りを、反射する君の髪の毛。

焦げ茶の、ふわりと柔らかい髪の毛。

いつも暑そうに、そしてつまらなさそうに見つめていた瞳。


全部、全部、覚えているのに。


「野瀬っ!」


ちらり、と見覚えのある顔が、自分を見つめる。


…――ああ、その瞳だ。


「野瀬っ、野瀬……っ!」


机の横のカーテンが風に揺られ、君の面影を消す。


「野瀬……、」


焦げ茶の髪の毛、

つまらなさそうな瞳。


君のことは、いくつでも覚えているのに。



「何処なんだよ……っ」





見つめる先に、一つの机。


古びた、茶色い、木目の机が一つ。


その机に反射される光。

その光を吸収するかの様に、輝く君の髪の毛、瞳。




「こんなにも………ッ!」



こんなにも自分は、君を覚えているのに。









カーテンの揺れる横の机に、君の姿が見れないのは何故。




















Without you.

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