特別枠☆小説(呪術)
狗巻と伏黒の場合
【・ほのぼの
・甘々
・馬鹿ップル】
息を吐くと暗闇の中でも白い色が付いて吐き出されるそれはもう気温が1桁だと教えてくれる。
周りは笑い声と綺麗に飾られたイルミネーションがキラキラと夜の街を照らしていた。
「ふぅー……さみっ。」
待ち合わせの多い場所で石の椅子に腰を下ろし空を眺めながら今日は任務があった恋人を待っていた。
余り高くない身長の恋人は人混みに紛れて探しても見つからずそのままずっと待っていた。
見つかるわけもない、そもそも待ち合わせ時間に早く着きすぎたのは恵の方なのだから。
待ち合わせ5分前……恵は早くに到着していて自身で自己嫌悪していた。
5分前の針は待ち合わせの時間ピッタリになり下を俯いて、再び顔を上げるとパタパタと足音がすると思いパッと見上げるとそこには待っていた恋人が息を切らして向かって来ていた。
ハァハァと息を整えつつ恵の目の前に立つ。
棘「はぁ、はぁ………おかか、明太子っ(ごめん、待たせちゃって)」
「………いや、気にしてませんよ。」
棘は首を左右に振ると手袋を外して恵の頬に手を添えた。
そんな棘の行動に恵は目を見開き驚く。
恵は両手をポケットに突っ込んだまま固まる。
ジッと紫の瞳が濃い青色の恵の瞳を捕らえて離してくれない。
ドキリと胸がなるし2人の間だけ時間が止まったようだった。
棘「たかな、おかか!ツナマヨ!(冷たいし、嘘は良くない!俺よりは早く来てたんでしょ?)」
「……………ですね……すみません。
先輩、暖かいですね」
恵は片手だけポケットから出して添えられてる棘の手の上に自身の手を重ねて目を瞑り呟く。
今度は棘がその行動にビックリする。
そして恵はゆっくりと瞳を開けると棘の指をカプっと口に含みニッコリと微笑んだ。
それを棘は「エロい」と思い頬を紅く染め目線を逸らす。
恵はそんな棘の反応を面白がりはしたが、直ぐに口から指を離す。
「じゃ、予定通りイルミネーション見に行きますか、先輩」
何事も無かったかの様に振る舞い、立ち上がりギュッと棘の手を握り締める。
棘は何も言えずに頷くとそのまま恵の手を握り返す。
まだ少し紅い頬をチラリと横目で見詰め満足そうに微笑むとゆっくりと歩いて行く。
イルミネーション、食べ歩き、プレゼント、色々と見て回った。
今日の為に予約をしていたホテルに付いてベットへダイブする棘とソファーに座る恵。
「ほら、先輩、上着脱いで下さい。
お風呂お湯入れますよ、体冷えてるんで。」
棘「しゃけーつなー(了解、ありがとうーさっすが、恵ー)」
「今日は広い風呂ですし一緒に入りますよね?」
棘「しゃけー……………え?(わかった………………ん?!)」
「ま、俺の誕生日なんで良いっすよね!」
棘「おかかー!(さっきの違う、だめ!)」
「………男に二言はないでしょ?」
先程までふかふかのベットで1人満足そうにはしゃいでいたが、恵の言葉に現実に帰ってくる。
棘は首を勢い良く左右に振るがもう遅く真っ黒な笑みで拒否権がない事を、悟ってしまう棘。
恵の笑みは本当に怖いらしい。
30分後-
「一緒に脱いじゃえば良いでしょ」
棘「おかか(いやだ)」
「じゃ、入って来てくださいね」
棘「……しゃ、け(う、ん)」
ガチャ
「ほら、湯船入って来てくださいよ、棘先輩?」
棘「っ!?(こんな時にしか名前呼ばないとか狡いだろ?!バカ恵!)」
無言で呼ばれたので湯船に入るが、足を縮こまして隅に寄る。
そんな態度に恵は眉間にシワがより無理矢理棘の腕を引きクルリと回転させ自身の足の間に座らせる。
「恥ずかしがらなくてももういっぱい見てるのに、今更だろ?」
棘「………め、ぐみ、明太子、おかか!(恥ずかしいものは恥ずかしいし、嫌なものはいやなの!)」
「……先輩は俺とこうやって入るの嫌だったのか……?ショックです」
棘「……おか、ツナマヨ、しゃけ!?(ちが、俺は一緒に入っても良いんだ、ホントだよ?だから、そんな顔しないで!わかった!?)」
「(チョロいな)そうですか…」
しゅんとした表情で棘を見詰め悲しそうにすると棘は慌ててそれを拒否る。
しかし、これは恵の作戦でありそれにまんまと引っ掛かってしまった棘は全く気付きもしない。
お湯の湯気でそこまで恵の表情が見えないのと首筋に顔を埋めていたのでそのせいでか恵は悪い笑みを浮かべている事に気づかない。
そして、後ろから恵は棘の首筋丁度真ん中にキスマークを付けた。
チューっと風呂の中で音だけが響きゆっくりと唇を離す。
棘「っ!」
「……綺麗に付きましたよ。」
キスマークを付けられたと解った棘は少しムッとするとクルリと身体を恵に向ける。
恵もそんな棘に普段そんな事をしないされるがままの棘の行動とは思えずビックリする。
棘「……たかな!(俺だって!)」
「っ!…んっ」
鎖骨にガブリと噛み付かれたかと思ったら今度はチューっと吸われキスマークを付け返される。
そんな棘の積極的な行動に嬉しい様ななんとも言えない感情が湧き上がる。
そんな恵の気持ちなど露知らず棘は上手く付けれて満足していた。
「(この人は、ホントに)誘ったのは先輩ですからね、ベットまでって我慢しようと思いましたが辞めますね。」
棘「………!?(え?!な、何、何か笑顔怖い……あ、うん、さよなら、今日の俺)」
「大人しいですね、まぁ、良いですけど」
棘「んっ、め、ぐ、み、んんっ……はぁ、ん」
そのまま上を向かせて唇に貪りつく舌を無理矢理ねじ込み歯並びをなぞり舌を吸ってみせる。
クチュクチュと口内を犯され続ける棘は熱い湯船の中でいつもより早い段階で頭がフラフラしていた。
ツルリと滑りやすくなっている恵の身体にしがみつき懸命に恵に応えるように舌を絡める。
「はぁ、はぁ」と棘の甘い呼吸が風呂場で響き渡り恵の耳を犯していく。
今すぐにでも入れたいと思ったが流石に風呂の中はそのまま逆上せてそれどころではなくなるだろうとゆっくりと棘から唇を離し一緒に立たすとお姫様抱っこでベットへ連れて行く。
突然の出来事とキスで呼吸がまだ整っていない事が重なり頭の中は混乱したまま恵から下りようとするが、力も入らなければ下ろしても貰えなかった。
抵抗の無駄だと棘は悟りそのままボフッと言う効果音と共にベットへ寝かされる。
そのまま恵は暖かくて濡れている棘を軽くバスタオルで拭いてやると、拭きながらも先程の続きだと再び唇を奪う。
棘も小さく息つくとそんな恵に答えるかのように目を瞑り舌を出した。
誕生日、おめでとう、恵。
生まれてきてくれてありがとう。
こんな世界だけど
ずっと一緒に居ようね。
End.
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