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キミのトナリ
H
―柊 Side―

時々朔弥を眩しく感じるのは、単に憧れとかそういう事じゃなくて…僕が『暗闇』だから。


改めて感じる僕と朔弥の違い。
朔弥の家族に温かく迎えられ、喜びよりも戸惑いの方が大きくて、向けられる好意を素直に受け入れる事が難しかった。



『アナタなんて産まなきゃ良かった!!』



棘のようにチクチクと胸の奥を刺し続ける母からの言葉。
僕は回りを不幸にする存在だから…だからいつかは、大好きな朔弥からも離れなきゃいけない日がきっと来る。
考えたくない『予感』がぐるぐる頭の中を回って、知らずに涙がこぼれた。
たまらず朔弥の部屋を抜け出し、一階へ降りると、深夜だというのにリビングに明りがある。
それに導かれるようドアを開くと、たくさんの紙を机に広げパソコンの画面と睨めっこをしているお母さんの姿があった。

「あら柊ちゃん!」

昼間の感じとは違い、パジャマ姿で初めて見る眼鏡をかけたお母さんは、すごく忙しそうなのに、休憩するからと僕をお茶に誘ってくれた。
せっかくの誘いを断れずに、向かいの席をすすめられそのまま座ったはいいものの、全く落ち着かず、キョロキョロしてしまう僕。

「紅茶で良いかな?」

「あっ…ああ!ありがとうございます!!」

緊張で少し上擦ったお礼に、お母さんが朔弥と似た優しい微笑みをくれる。
つられて僕も少しだけ笑って見せたけど、上手く笑えた気がしない。
それでも、お母さんの優しくて柔らかい雰囲気に、少しづつ気持ちが変化していくのを感じていた。

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