キミのトナリ G 後片付けはもちろん女2人に押し付け、早々と自室へ柊と引き上げた。 「どうした?」 初めは肉の食わせ過ぎかと思ったが、何となく柊の表情が曇りがちな気がしてたまらず声をかけるも、それは俺の思い違いじゃないようで、視線が絡まない。 「…バーベキュー楽しかったなぁって。」 『楽しい』という言葉と気持ちは反対で、寂しそうに瞳が揺れているように見える。 背中から抱きしめて、ギュッと思い切り力を込めた。 「あんなのやかましいだけだろ?」 「僕、ああいうの初めてで…どうしたら良いのか良く分からなかったけど。でも、楽しかった。」 ギュッと正面から抱きしめ直すと、柊が答えるように背中へ手を回してくる。 それに、ようやく俺を見てくれたんだと安心した。 「またやろうな。」 「…うん。」 笑顔が戻った事にもっと安心して、小さく柔らかい唇へキスを落とした。 でも、その笑顔の本当の意味なんて、この時の俺は全く気付いていなかった。 [前へ][次へ] [戻る] |