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キミのトナリ
B


壊される


全部壊されて壊されて…何も無くなる。
僕は、何のために生きているんだろう。



母が帰ってからどのくらいの時間が経ったのか。
さっきまで近くで鳴り響いていた雷の音はしなくなっていた。
雨はまだ強く降り続いている。
僕は玄関に崩れるように座ってから指を動かすことすら怠くて、何度か携帯が鳴った気がしたけど、確かめていない。
いつの間にか、涙は止まっていた。


母が、こうするのには理由がある。
僕はそれを知っているし、だから今まで理解して、すべて諦めて、それを受け入れてきた。
母は、可哀そうな人だから。初めて自分の意志で大切なモノを見つけて、手に入れられた。
朔弥が僕を受け入れてくれて、ずっとずっと大切にしていきたかった。
初めて生まれて来て良かったって、こんな僕でも良いんだって、大好きだって言ってもらえた。

本当に、僕が不幸を呼んでるの?
何で幸せになっちゃいけないの?




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あきゅろす。
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