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キミのトナリ
霧島家の人々
―柊 Side―


温かい。
すぐ近くで大好きな朔弥の匂いがする。
重たい瞼を開けたくてもどうしても少ししか開けられない。
瞼だけじゃなく全身がだるくて指を動かす事も難しかった。

「まだ寝てろよ。」

頭を撫でる大きな手と、甘い声、そっと瞼に触れる優しいキス。
それに安心して僕はまた深い眠りに落ちた。



2度目に目が覚めた時、僕の視界に映り込んで来たのは朔弥じゃなく…

「アナタが柊ちゃん?」

だっ…誰???
ここどこ?
何で僕の事知ってるの?
確かさっきまで朔弥と…そのっ…ラっラブホテルにいたはずだよね?
もしかして、夢…なのかな?
今僕の目の前にいるのは
一緒だったはずの朔弥じゃなくて、制服姿のすっごく綺麗な女の子。

「ねぇ?柊ちゃんなの?」

床にちょこんと座り、僕が寝ているベッドに手をついて、興味津々な視線をこっちに向けて来る。
それに余計動揺して、夢なのか現実なのか判断がつかないまま、僕は何度か頷いてみせた。

「ふーん。」

気のなさそうな返事とは逆に、じーっと僕を見つめたまま、どこかに行ってくれる様子もない。

「それ、赤いの。朔ちゃんにつけられたのね。」

指摘された場所を確認してハッとする。
きっと昨日朔弥につけられた跡だ。
何とか隠そうとシャツの襟をギュッと掴んでみても、あまり意味がなかった。
ど…どどどうしよう!?
とりあえず寝てるままじゃダメだよね?
思い悩んでベッドから起きようとすると、…あれ?…。
力を入れてるはずなのに、フニャンってなって全く起き上がれない。
うわぁ!何?何なの??
完全にパニックになった時、ガチャっと勢い良く部屋のドアが開いて、怒った顔の朔弥が入って来た。



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