キミのトナリ
意識
−朔弥 Side−
クルクルと可愛い大きな瞳を世話しなく動かし、いつも以上に緊張する柊が堪らなく愛おしくて、この場で押し倒してやりたくなる。
「俺と一緒だと落ち着かねぇ?」
「ちっちち違う!えっと、そそそっそうじゃなくて…」
俺を怒らせたと思い込んで必死に弁解しようと慌てて声は裏返るわ、どもるわでちょっと可哀相になって来た。
「別に、怒ってねぇから。」
「そっそうなの?…ああのっ、ゴメン。」
今度は勘違いしたことを申し訳なさそうに謝り、気まずそうにうつむいてしまう。
全く、何でこんなに柊は可愛い奴なんだ!!
全てが愛おしく見えて許せてしまっても、1つだけ今俺は許せない事がある。
それは、柊が最近あまり俺と目を合わせない事。
理由はちゃんと分かってる。
こうやって意識してくれてるのは男として嬉しいけど、他の奴が普通に柊の視界に入ってるのに、俺が入らないってありえねぇじゃん。
だからワザと怒ったような態度をして、ちょっと苛めたくなるんだ。
「でも最近柊が俺の事見てくれねぇし、やっぱムカつくなぁー。」
「だっそそれは!…いろいろ思い出しちゃって…。」
「何を?」
「……。」
今にも泣きそうな顔で必死に説明しようとするも、顔が赤く染まるばかりで次の言葉が出てこない。
ヤベー!超カワイイ!!
「柊がキスしてくれたらすぐ機嫌直るんだけど。」
「…ホント?」
「本当。」
キョロキョロと辺りを見回し、誰もいないのを確認してから柊が触れるだけのキスをくれた。
柊の身体を気遣って、1週間も触れていない俺は欲求不満の塊。
一度味わってしまったあの快感はもう忘れることなんか出来るハズがない。
「…直った?」
「ああ、すげぇ良くなった!」
俺の返事を聞いて柊は安心した表情になる。
俺の言葉や反応に一喜一憂する柊を見ていると、嬉しくてたまらない。
他の奴とは違う。
俺に好かれようと計算して機嫌をとったりなんか絶対にしない。
柊自身が素直に俺に反応している。
もっともっといろんな柊を知りたくなる。
こんなに他人に興味を抱くなんて、今までした事がない。
柊だけが、俺を熱くさせることの出来る唯一の存在なんだ。
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