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キミのトナリ
A

「俺ん家行こう!」

相手の返事も待たず、強引に細く小さな手を引っ張り黙々と歩き続ける。
勝手なのは十分理解してる。今だって柊の気持ちなんておかまいなしで自分の欲を満たす事だけで頭がいっぱいだった。こんなに自分から欲した相手なんて過去に一人もいない。
ただ柊が欲しくて欲しくて気が狂いそうだ…もう狂ってるか。

「朔弥!痛いっ!!」

慌てて離した腕には握った強さを現すように、くっきりと赤い跡が。視界に入った途端、やっと我に返った。

「…あっ悪い。」

慌てて掴んでいた手を離すも、あまりの自分自身の変貌ぶりに焦りと気まずさで柊へ視線を送る事さえ出来ない。思わず額に掌をあてる。
マジでヤベェー、まるでコントロールが効かない。どっかネジが外れたみたいに今の俺は制御不可能。さっき細い腕に赤くつけてしまった跡を見ても冷静になったのは一瞬。これからしようとしている事でとにかく余裕がない。

「入れよ。」

「おぉぉ邪魔します!」

柊もこれから俺がしようとしている事に気付いているのだろうか?それとも初めて俺の家に来たからだろうか?いつも以上に声が裏返った。
この時間ならまだ誰もいない。かなり好都合だ。柊の家でも良かったが、一秒でも早くコイツと繋がりたくて 学校から近い俺の家に誘った。正確に言えば強引に連れて来ただな。
そういえば今までキスすらしたことが無かった柊は今からここで俺がしようとしている事を理解しているんだろうか?
いきなり連れてこられたんだ。分かってねーかも。むしろ一人でもしたことなさそうだ。
家に入るなり急いで階段を上り、一番奥の俺の部屋へ辿り着くとすぐさま後ろから小さい背中を抱きしめた。

「柊」

「はっはい!」

「これから俺がしようとしてること、分かる?」

俺のいきなりの行動に体を硬くしながら、分からないと首を振る。さっきまでキスもした事がなかった奴にこの先の展開が分かるはずないか。
愛しい柊を片腕で抱きしめながら、もう片方の手でサラサラした柔らかい髪を撫で、こめかみにキスをし、可愛い耳にもキスをして、期待と興奮で胸を膨らませながらも、それを悟られないようなるべく静かな声で伝えた。


「今からお前抱くから。」


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あきゅろす。
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