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キミのトナリ
A
「…あっあの、本田くんはいいの?」

歩幅の違いで僕は早歩きになりながら校門を少し過ぎた辺りでようやく朔弥に話かけることが出来た。

「ああ。用事あるらしくて先に帰った。」

「そうなんだ。」

それだけ言葉を交わすとまた沈黙。
普段ならもっとたくさん話すのに、なぜか話題が見つからない。何とか話す内容を頭フル回転で探しているとふと朔弥が立ち止まる。

「歩くの早いか?」

「ううん、大丈夫。」

僕の様子を見て、歩きやすい速度に変えてくれる。
そういう優しさにまたドキドキしちゃって…もうどうしよう、幸せだ。
顔が熱くてどうしようもなくて俯き気味で歩く。

「柊ん家ってこっち?」

「あっうん。」

急な問い掛けにハッとして顔を上げると偶然にも朔弥と初めて会った場所だった。
あんなに何回も何回も朔弥をこの場所で待った。でも会えなくて諦めようとしたら再会出来て、こんなに近くにいられるなんて…。本当に夢みたい。

「どうした?」

「ううん。何でもない。」

いつの間にか立ち止まった足を先へ進める。

「朔弥の家はどの辺なの?」

「ああ。もう過ぎた。」

「えー!早く言ってよ。じゃあここで…」

「柊ん家教えて。」

僕が言い終わらないうちに朔弥が言い出す。それって送ってもらえるって事なの?急すぎて、もうクラクラしてきた…。

「嫌だ?」

「いいい嫌じゃ…ない。」

あー!もう駄目だよ!!僕幸せすぎて頭沸騰しそう!友達だったらお互いの家に行ったりするのなんて当たり前だよね、夏樹と僕もそうだし。
でもそれが、好きな人だったら物凄く特別な事になる。

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