キミのトナリ
B
どうも落ち着かない。
何であんな辛そうなのに今日出て来たんだ?普通親も止めるだろ!
昨日なんかあったのか?でも特にいじめられてるとかっていうのもなさそうだし。あの夏樹って幼なじみとケンカでもしたのか?そういえば昨日一緒に帰ってなかったし。
何で…倒れたのに笑ったんだ?
柊の事が気になって授業なんて耳に入らなかった。
隣の空席を見つめながらいつもいるはずの奴がいない事に少し寂しさを感じた。
「柊倒れたって!大丈夫なのか?」
休み時間になると同時に夏樹が教室へ走り込んで来た。
「軽い脳震盪だって。今保健室で寝てる。」
「そっか。」
夏樹は安心した様で、さっきの強張った表情が緩んだ。
「それより昨日アイツとなんかあった?様子がおかしかったんだ。」
「昨日?何もねぇよ。俺が用事あったから帰りは別だったけど昼はいつも通りだったし。」
「そうか。」
コイツが原因じゃないとすると一体何だ?
「あのさー。」
「あ?」
「柊はちょっと家でいろいろあって昔から頑張り過ぎる所があるんだ。だから無理してそうな時は止めてやって。多分アンタの言う事なら聞くと思うし。」
「ああ。分かった。」
「それと、これは出来たらでいいんだけど。柊の側に居てやってくんない?アイツ言わないけど結構淋しがり屋だから。きっと俺よりアンタが居てくれた方が喜ぶよ。」
何で夏樹より俺がいた方が喜ぶのかは分からないが、柊の様子が気になって仕方がなかったので「分かった」と返事をした。
「アンタと初めて話したけどいい人そうで良かったよ。じゃあ柊の事頼んだよ」
教室を出て行こうとした夏樹が思い出した様に振り返った。
「あっ!それとお友達の本田くんにもよろしくね☆」
女顔の美人男はウインクしてそれだけ言い残すと自分の教室へ戻って行った。
本田?アイツ噂には聞いてたがもう敬吾にまで手出したのか?
まあ俺には関係ねぇ。それより柊だ。
俺はまた足早に保健室へと急いだ。
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