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キミのトナリ
F
入学式から一週間が過ぎてた。
朔弥の隣にいることが出来て毎日喜びと緊張の連続だ。



朔弥とは毎日少しづつ距離が縮まり、休み時間に話したり、教室を一緒に移動したりお互いクラスの中では1番仲の良い友達になりつつある。

最初、朔弥の事を「霧島くん」と名字で呼んでいたが名前で呼べと言われたので今は「朔弥」と呼んでいるけど朔弥からは相変わらず「お前」のままだ。



たまにツンツン頭の本田くんが来て僕の事を「かわいい」と言ってからかったり、お姉キャラでみんなを笑わせたりしてるけど僕はそれが嫌ではなくて、本田くんのおかげでなんとかクラスにも打ち解ける事が出来た。



新しい朔弥を発見する度に僕の中の『好き』って気持ちがどんどん大きく膨らんでいく。
そこには『嬉しい』も『楽しい』もあって僕は今まで味わったことのない幸福感に浸っていた。







でも…。いい事ばかりじゃない。





「そうだ。朔ちゃん今夜もよろしくね!」

「ああ。しょうがねぇ行ってやるよ。」

「んもう。大好きなくせに。ホント素直じゃないんだから!」

「お前ほど好きじゃねーから。」



程なくして授業開始のチャイムが鳴ると慌てて本田くんは自分の教室へと戻って行った。
僕は今の会話の内容が気になってしかたがない。



「今夜二人でどっか行くの?」

「ああ。」

「どこ行くの?」

「合コン」





聞かなきゃ良かった…。




なぜかすごく気になって、しつこく聞いたけど…。


何だろう…この気持ち…。



急に胸の奥がざわざわしだして…気持ち悪い。

今まで、どんなに女子がまとわり付いてても朔弥は相手になんてしてなかった。
でも、いつもとは違う。

さっきの会話からすると、もう何度も行っている様子で、しかもそこには明らかに朔弥の意志が感じとれる。

僕の知らない朔弥の存在。

知らなくても当然だし、僕は今みたいに朔弥の隣にいれるだけでいい。



違う…。


なんか…嫌だ…。


合コンになんて行って欲しくない。女の子と楽しそうにしてる朔弥なんて嫌だし、あの優しい笑顔を誰にもして欲しくない。


『もっと近づきたい…。』


駄目だ!こんな事思っちゃ。
僕が勝手に好きになっただけで、朔弥は僕をそんなふうには僕を見てくれない。『もっと』なんて望んじゃ駄目だ。


きっとこの想いを伝えたら、『友達』という関係さえも終っちゃうから。



だから…だからこのまま側にいれるだけでいい。

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