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キミのトナリ
F

―柊 side―

さっきから聞かされている『嫉妬』の意味を理解出来るほど、僕の頭はそんなに良くないし、もちろんそんな経験もないから理解できるはずがない。



朔弥が!?誰に!?何で!?


頭の中はもう?だらけだし、もういっぱいいっぱいだ。
怒ってる理由すら分からなくて、すごく怖くなって謝ったらこんな状況になってて。
今はまた違うことで混乱している。

「あの…朔弥は、誰に嫉妬してるの?」

そう思いきって聞いてみると、朔弥の動きがピタッと止まり、バツが悪そうにプイっと視線を反らす。

「…生徒会の奴。」

ボソッと聞こえた意外な答えに驚き、声も出なくなる。

「アイツと柊が仲良く話してるの見て、しかも俺の知らないところで知り合ってたのかと思うと…すっげぇムカついたんだよ。」

ぶっきらぼうに話ながらも、少し恥ずかしがってるみたいな初めて見る朔弥の顔に、ますますドキドキしてしまう。
そんなふうに思ってくれていたなんて知ったら、僕はもうどうにかなっちゃいそうだよ。

話を聞いて少しだけ状況を理解出来たのと同時に、ずっと疑問だったことにやっと答えが出た。


あの先輩に、毎日朔弥を取り囲む女の子たちに向けていた、モヤモヤした感情の正体。
重たくてドロドロと体の奥底から湧き上がって来るようなあの不快感。
あれは、僕が嫉妬してたからだったんだ。
今までそんなこと思うのは、いけない事なんだって思って心にしまっていたけれど、朔弥も僕と同だったんだ。

「僕だって、あの先輩にも、回りの女の子にもずっと嫉妬してた。本当はずっとずっと朔弥をひとりじめしたいって思ってた。」

なぜか急に泣きたくなって、たまらず朔弥に抱き着いた。
そんな情けない僕を、すぐに温かい腕が強く抱き締めてくれる。
いつだってそうだ。
朔弥は僕を優しく受け止めてくれるんだ。
僕が思ってるよりも、朔弥に想われてることが嬉しくて泣いているのか、今まで我慢していた気持ちが止められなくなったのか、きっとその両方だ。

「俺をこんなふうにさせる奴は、柊しかいない。分かった?」

頷くだけで精一杯な僕に、優しい指が涙を拭っていく。

「俺が好きなのはお前だけだ。」

そして、暗示をかけられてるみたいな強い言葉と、とろけそうなくらい甘いキスが、目尻に、唇に、いくつも降ってきた。


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あきゅろす。
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