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キミのトナリ
M
消えてはまた、染みのようにじわじわと心の中に じわじわと
広がっていく不安感。
静かな暗闇の中、たった一人でいるみたいだ。
そして、そのうちに頭の中で警報がなって、僕の気持ちにブレーキがかかる。
この感覚は何度かあった。
急に他人と関 わることが怖くなり、自分でも気づかないうちにおいてしまった距離感を勘違いされたりすることもあった。
だけど朔弥には、そして今僕の回りにいてくれる皆に は、僕から離れていってほしくな い。

「どうした?疲れたか?」

「うんん。」

ほら、また朔弥に心配さちゃった。
せっかくお兄さんが教えてくれた、会社近くの神 社でやってるっていうお祭りへ行く途中なのに。
せっかく朔弥との初めてのお祭りなんだから、暗い気持ちはどこかへ吹き飛ばして楽しく過ごしたい。

神社が近づくにつれ、少しづつ気持ちが上向きになってきた頃、これが僕の現実なんだとつくづく重い知らされる。

「やっだぁ!!朔弥じゃん!!」

よく知ってる浴衣姿の女の子が、僕にわざと見せつけるように朔弥の腕にまとわりつく。
視線はあの時と変わらない。
僕の存在が邪魔だと、そう訴えていた。
唇が触れそうなほど顔を近づけようとする。
その様子に、今まで感じたことのないドス黒い感情が、僕の心を一層と濃く染めていった。

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