キミのトナリ
J
―朔弥 Side―
「あっ!朔弥、おはよう。」
朝目覚めた時に、抱きしめていたはずの柊が居なくなっていて、探しに2階から下りてみると、なぜか、うちの母親と柊が仲良く朝食を作っている。
「今朝は柊ちゃんが作ってくれたの!ママ助かっちゃった!!」
その言葉に柊は照れながらも、とても嬉しそうに微笑んでいた。
昨日の緊張感は嘘のように消えた様子に驚きつつ、いつもより数倍美味い朝食が食えて、俺は満足していた。
母親が仕事へ出かけると、柊が昨夜母親と話をした事を教えてくれた。
「ありがとうって、お母さんが言ってくれて、…本当は僕、謝らなくちゃいけないのに。」
「何で?」
「…だって、僕みたいなのが恋人って…女の子じゃないし、…怒られると思ってたから。」
そんなふうに柊が不安を抱えてる事に俺は気づきもしなかった。
普通に考えたらそうだよな。
「僕みたいなの…じゃない。柊だから気に入ったんだ。」
「そう…かな?」
安心させるように柊の瞳をまっすぐ見つめて頷くと、ありがとうと嬉しそうに微笑んだ。
まあ、うちの母親はあんな感じだし、兄貴も兄貴で…って感じだからあんまり考えずに行動してたのが、柊を不安がらせた原因だったんだろう。
謝る代わりに柊をギュッと抱きしめると、突然のことに驚きながらも、しっかりと俺の背中に手が回り、同じように力が込められた。
[前へ][次へ]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!