[携帯モード] [URL送信]
だから、大丈夫かって言っただろ。

 飛空挺ファルコンの一室。珍しく「良い酒が手に入った」と傷だらけの顔をニヤリと歪めてロックとエドガーにワイン瓶を見せた。

「セッツァー。コイツ、闇ルート禁制品だろ? 大丈夫なのか?」

 ロックが言葉とは裏腹に目を輝かせると、エドガーも唇を横に広げて満足げな笑みを浮かべる。
 度数と依存性がが強すぎると流通禁止になった秘蔵の酒だ。
 こうして、男達の宴会は唐突に幕を開けたのだった。
 始めは現状の話と酒、宝石類の話をしながら少しずつ飲んでいた。ある程度会話が進めば他愛もない話へと移り変わる。
 飲み進めていくといつしか愚痴染みてくるのが嫌になり、雰囲気を変えようとセッツァーが唐突な質問をロックに投げかけた。

「この間、セリスが腰抑えてたぜ。ヤりすぎじゃねぇのか?」

 ぶぼぁっ
 元気に霧状のアルコールを噴霧するロック。げほげほと噎せ返り、何が起きたのかセッツァーを確認しようと顔を上げると、近くのナプキンでセッツァーが袖周りを拭っていた。

「汚ぇな、まさか毎晩とか言うなよ猿」
「バカ、んな事しねーよ」

 容易く挑発に乗りかけていたロックに、後ろから同意の声が聞こえる。助け舟かとロックが振り返れば一国一城の主が右手を筒状に丸めて上下に動かしている。

「そうそう。ロックの恋人は右手だろう?」

 エドガーのジェスチャーは十数センチの間をひたすらに高速で上下している。どう考えてもコイツは酔っている、それがロックの出した結論だった。だがそれをすぐに訂正する羽目になる。
 エドガーの動きを見たセッツァーがロックを振り返り、片手を口元に当てて、ゴクリと喉を鳴らしたのだ。

「随分と高速な動きじゃねぇか…」
「どこに感動してんだよ!!」

 ロックは、小さくどっちも虎かよと自分も酒を思い切り煽る事にしたのだった。


[next →]
[FF6へ戻る]
[TOPへ戻る]


[次へ#]

あきゅろす。
無料HPエムペ!