存在理由 13 頬をザラザラしたもので舐められている感触に目を開けると、目の前には美形さんがいた。 あまりの驚きに何も言えずにいたが、いつまでもこうしているわけにもいかず「誰?」と尋ねると、美形さんはベッドから降り、自己紹介をしてくれた。 どうやら俺の同室者らしい。 それにしてもこの人も葎先輩とは違った意味で、すごくかっこいい。 髪の色とか、格好とか不良丸出しで、顔はちょっと強持て。でも整っていてかっこいい。 背も高いし、いいなぁ。 性格も見た目より怖くなくて、むしろフレンドリー? 名前で呼んでいいって言ってくれたし! この学校での初の友達…になるのかな? 「なぁ、歌鈴は夜飯どうするんだ?」 「えっ?」 「もう七時回ってるぜ?」 うそぉ!!! 俺、そんなに寝てた? 慌てて窓の外を見ると、真っ暗でした。 「あらま。俺ってばかなり寝てたのね。…う〜ん、夕飯かぁ。どうしようかな。」 たしか食堂とかあったはずだけど、場所がわからないし。 琉に言えば案内してくれるかな? 「…俺、夜飯作ったんだけど、もしよかったら一緒に食うか?」 「いいの!?」 「ああ。」 なんとグッドタイミングなんだろう!! 手料理かぁ。 俺、作れないから作れる琉がすごい。 琉に促されリビングに行こうとしたら足元から「ニャー」と鳴き声が…。 「あっ!ごめん。ウルもお腹すいたよね。今ご飯用意するから。」 いけない、いけない。 すっかり忘れてたよ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |