[携帯モード] [URL送信]
猟奇的犯人(深海魚シリーズ)






部活終わりの元就サンを待っていたら、偶然前田慶次に会った。
無所属のくせにこんな遅くまで何してたんだとからかったら、裏腹に奴は酷く神妙な顔をしていて。



「元就さんが珍しい人と一緒にいたから、つい覗き見してたんだ」
「who is?」
「長曾我部元親、」



名前を聞いて、確かに珍しいと思った。
元親とは、1年の時はお互いそれなりに仲良かったので、知らない相手じゃない。
悪い噂は後を絶たないが、単車好きや価値観が似ていたので、素直に腹を割って話せる数少ない人物だった。
2年に上がって暫くした辺りから段々と学校に来なくなり、それからあまり連絡も取っていない。
そんな間柄ではあったが。



「元親が、どうして元就サンと…」
「俺もそれが不思議でさ、だから覗き見してたんだけど、」



もしかしたらあの二人、そういう関係なのかもしれない
と慶次は言った。
人の色恋には人一倍煩い慶次の目にそう見えたなら、そうなのだろう。
経緯は分からないが、仮に二人がそういう関係ならば。



『DV野郎は元親ってことになる…』



慶次と別れた後、政宗は一人、悶々と考えた。
あのまま待っていたら二人に出会ってしまいそうで、いたたまれなくなって一人で帰った。
ポケットの中の緑茶の缶が冷めていくのと比例して、政宗の気分も暗く、沈んでいくようで。

急に、明日、彼に会うのが怖くなった。








あきゅろす。
無料HPエムペ!