[携帯モード] [URL送信]
思い出を飲み込んで空の青は深く






冷たい眼をしていると思った。
性格も同じように冷たいものだと暫くは思っていた。



「毛利はいつもああなのか?」



同盟の書状に目を通しながら、代理として目の前にいる隆元に聞いてみた。
毛利は別の客が来たとかでそっちへ行っている。
俺もそれなりにvipじゃないのか。



「ああ、と言われましても…えと、その、どのような…」
「…‥言い方が悪かった、毛利は息子のアンタにまで冷たいか?」
「うーん、そうですねぇ…」



父親はあれだけしっかりしているのに、その息子はこれだけ間延びしているというのもなかなかない話だ。



「父は確かに厳しいですが、不器用なだけなんだと思います」



書状に間違いがないか確認しながら、隆元は続ける。



「私の母が亡くなった時、それは父らしからぬ落胆ぶりで、三日は部屋から出てきてくれませんでした。あれは本当に大変でしたよ、皆で必死に説得したのにずっと突っぱねるんですもの。
それに、私はよく知りませんが、その昔、父は弟君を討ったと…その時も二日ほど部屋から出てこなかったそうで、」
「…なんというか、」
「意外でしょう?」



隆元の口から語られた、あんなに冷たいとばかり思っていた毛利の、人間らしい一面に呆気に取られた。
あんなに冷徹に振る舞う毛利が、部屋から出てこないなど想像もつかない。
堪えきれなかった笑みが思わずこぼれる。
隆元も笑う。



「伊達殿の目には、確かに冷たく見えるかもしれません。けど父は、近しい者が亡くなることに耐えられない性分みたいなのです、だからあまり人を寄せ付けないようにしているだけなのです」
「それであの性格に、か?」
「…だと私は思ってます」



にっこりと笑う隆元は、本当に父に似ていないなと思った。
中身は多少似ているかもしれないが。






第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!