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真実まで虚偽のような(深海魚シリーズ)







定期的に逃げ込むようになった保健室で、元就は小さく溜息を吐いた。
いつも、先に帰れと言ってもいつも待っていた政宗が、昨日はいなかった。
そんな小さなことが昨日からずっと引っ掛かっている。



「いつもいない人が来たと思ったら、いつも来る人がいないなんて、珍しいこともあるものですね」
「…‥何が言いたい」
「いえ、私は出席簿を見て珍しいなあと思っただけですよ、他意はありません」



各クラスの出席簿を見ながら、にっこりと笑う明智が憎らしくて一発殴っておいた。
腕が痛い。



「伊達は欠席届がまだですから、休みと決まった訳じゃないですよ?」
「煩い!や、奴のことなど微塵も気にかけておらぬわ!」



本当は、昨日元親と一緒にいたところを見られたのではないかと心配していた。
政宗がこちらを見ただけなら、まだ、救いがある。
もしそれを元親が気づいていたとしたら。
…考えたくもない。
体中のあちこちが痛い。
けれど一番痛いのは心かもしれない、なんて。
生温いことを考えているから、きっとだめなのだろう。



「Bull shit!すっげー遅刻じゃねぇか!」
「まさ、むね」
「oh、元就サン!good morning」



だから全て裏切って政宗が保健室の扉を開けた時、不覚にも泣きそうになったなんて。
思わない、








あきゅろす。
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