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守られるよりも共に戦いたくて






『右!』

『死角が出来てんだよ!』



お願い誰か


彼を守って









「あんたが作った御守り利いたぜ」


連邦の衛星兵器メメントモリは、ソレスタルビーングの大胆かつ繊細な戦術の前に、激しい攻防戦の末ついに陥落した。



破壊された兵器の残骸は無数の流れ星となって地上へと降り注いだ。



イアンさんが怪我をして休んでいる今、ガンダムの整備が出来るのは、私だけだ。


ミッション終了と同時にブリッジを飛び出すと、急いでガンダムの格納庫に向った。


次々にガンダムを降りて来るマイスター達に声をかける。



でも、たった一人、待てど暮らせど降りて来ない。



「…ライル」



ミッションの後のマイスター達の心情は、私には計り知れない。


興奮と悲壮感に繰り返し襲われると、いつか………彼が言っていたのを思い出した。



「ロックオン……」


『そんな顔しなさんな。俺はこのとおりピンピンしてっから』






辛抱強く待つと、やがてオレンジの相棒がフワフワとコクピットから出て来るのが見えた。


「ハロ!ロックオンは大丈夫?」



『ロックオン、ナイテル。ロックオン、ナイテル』


「泣いてねえって!」



格納庫に響く声にほっと胸を撫で下ろすと、私は床を蹴りハロを捕まえ、半無重力の空間をケルディムのコクピットへと向った。






「キミ泣いてるの?」

「だから泣いてねえって言ってんだろ。ほっとしたら腰が抜けちまっただけだ」


強いんだか弱いんだか、分らない。



でも、あのシステムは確実に私達を守ってくれた。



ロックオンを守ってくれた。




「あんたが作った御守り利いたぜ」

「御守り?」

「シールドビット。あれのおかげで命拾いしたよ」




シールドビット


パイロットの僅かな脳波に合わせて自在に動く盾。




『右!』

『死角が出来てんだよ!』



目を閉じれば思い浮かぶあの場面。

この盾があれば、他方向から襲い来る無数のファングから、きっと彼を……ニールを守ってくれた。


皮肉にも、このシステムは、彼の最期の戦いをハロを通して知り、思いついたシステムだった。



ニールが命がけで私に残してくれた御守り。






「ちゃんと狙い撃てたね」


「今回はさすがに緊張したけどな」




ロックオン・ストラトス………ライル・ディランディは、ロックオンなんだね。



彼はニールじゃない。

ニールはもういないのだから。




ヘルメットの中に幾つもの涙の粒が浮かんだ。



ニールごめんね


私はまだもう少しここで頑張ってみる。





「ロックオン…私達を守ってくれてありがとう」




『ロックオン、ナカシタ。ロックオン、イジメッコ』



「はあ?なんでそうなるんだよ。あんたも、なんで泣くんだよ。」



だからお願いニール


これからも私達を守って









守られるよりも共に戦いたくて


fin



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