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仙流復活祭
ここから…(ラスト)
抱き合ったまま深い眠りに入った二人は、睡眠も満ち足りて、自然と目を覚ました時にも互いの腕の中だった。
どれだけ寝返りを打っても最後には互いの腕の中に収まっているという事実が面映ゆい。

「おはよう…」
「オハヨ…////」

照れ臭く返して身を起こした流川は、一言「風呂」と言って抜け出していく。
折角だからと一緒に入ったら、流川に牽制されてしまったが、満足感がまだ躰に残っている為にそこでイタしてしまう事はなく、二人で朝食に取り掛かった。

仙道は流川の母に昨夜の返信をしてから、流川との朝を楽しむ。
今日もバスケかなぁと思えば、やはりその気満々な流川のバスケバカっぷりに苦笑してしまった。


そして午前中スポーツの汗を流した後、仙道は海を見て立ち止まった。
それを見た流川は、何も問わない。
少しボールをバウンドさせてから手に取った仙道は、小さく呟いた。

「三年しか居なかったけど…神奈川、好きだなぁ……」

「だったら戻ってくればいー」

いつの事を言っているのだろうか、流川をじっと見て、仙道は微笑んだ。

「新しい街にある程度慣れねーといけねーし、今月中旬位で引っ越すよ…」

流川の瞳が淋しそうな色を浮かべたと感じたのは気の所為だろうか。
一瞬でいつもの強い瞳になっていた。

「なぁ……昼飯、横浜に出てシウマイ弁当食おーぜ。午後は横浜デートしよう」

少なくともあと一年は同じ関東なのだから、今後も流川の家には行く事になるだろうし、今回は大きな別れにはならないが、やはり馴染んだ湘南を離れるのは少し寂しい。
横浜は湘南ではないけれど、神奈川での思い出を作りたいと思っても無理はあるまい。

流川の方は、デートという言葉に少し眉を寄せたが、互いの事情は承知なので、溜め息一つで頷いた。

「もしかして初デートじゃねぇ?」
流川とデートだとウキウキしている仙道に、彼は呆れて「どあほう」と返す。
湘南は結構二人で出歩いていたし、今更デートも何もねーだろうと思ったが、それは言わなかった。



折角の携帯の機能なのだからと、横浜でツーショット写真を撮ってご満悦の仙道を見て、流川はそこでも溜め息をついた。
笑顔なんて欠片もない表情なのに(仙道の方は満面の笑顔で、流川の肩でピースなんてしている)それでも構わないらしく、仙道はご機嫌だ。

それから鎌倉とはまた違う横浜の海を眺めて、仙道が言った。

「これからもさ、色んなコトあると思うけど…どんな形でも、一緒に生きていこうな…」

流川は仙道をじっと見て、極短く応じた。
「……おう……」


そうして二人は飽きるまで、横浜の海を二人並んで眺めていたのだった。





───────THE END

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