仙流復活祭
For You(ラスト)
「オレは他の道に進むんだ。バスケ好きだし、それこそ吐くぐれー練習した。でもさ、努力じゃどーしよーもねーものってあるんだなぁって、仙道見てると思うんだよ。スポーツって、それでやってくには才能が凄ぇ大事だって。同じ練習量でも奴は悠に先を行ってる…何て言うか、別格なんだよな」
呟きみたいな台詞に、やはり流川は何も応えない。
「悔しいけどさ、流川は仙道と同じで才能あるもんな……どーすんのか知らねーけど、まぁ……頑張れな」
「……うす……」
それだけを応えたものの、流川には何も言えない。
すると仙道が戻ってくるのが見えた。
彼が走ってくると、それまでの何処か微妙な空気はなくなった。
取り敢えず仙道は越野に訊いた。
「オレ等おみくじ引くけど、おまえ等どーすんの?」
「あー、もう帰るとこ。じゃ、また休み明けにな」
そう応じて従兄弟と連れ立っていく彼を見送ると、仙道は流川に向いた。
「さぁ、行こーか♪」
勝負だなんて言いながら引いた御神籤は、二人仲良く吉だった。
「何だ、良くも悪くもねーってか?まぁ悪くねーだけ良いか…」
そんな感想を述べる仙道に、流川は溜め息をつく。
「関係ねー」
そんな返事も流川らしいが、仙道は彼の手から御神籤を取って、一緒に重ねて折った。
「二人一緒で吉が倍掛けだな♪」
「…………」
呆れる流川に対して、嬉々とした仙道が御神籤を木に括り付けた。
「寒ィなー、早く帰ろうぜ。あとはゆっくり誕生日しようなv」
そう言って笑う仙道に、流川は黙ってついていった。
ともあれ越野に揃いのマフラーを突っ込まれなくて良かったと仙道は思う。
あの時越野は流川に何か言ったのかどうか、チラリと流川を見るが、彼が何も言わないなら訊かないでおこうと思った。
それよりも今日一日、流川の誕生日をどう過ごすかの方が大事だ。
仙道は改めて気合いを入れて、家路を辿った。
卒業後の事を考えると、今こうして一緒に居られる時間がどれだけ大事か解る。
それでも、自分達がそれを選ばない限り、仮に多少離れたとしても、別れはないと信じている。
ともかく、流川の特別であり続ける為にも、(勿論自分の為にも)もっともっと強くなろうと思う仙道だった。
───────THE END
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