仙流復活祭 For You(3) その後、母親が用意してくれたケーキを食べて、流川も仙道に何をあげようか考える。 すると母親が割って入ってきた。 「仙道君、誕生日なの?」 そー言えば、この母はすっかり仙道ファンなのだった。 電話の会話を聞きかじったのだろう。 「……もう過ぎた」 「何日?」 同じ様な会話だと思いつつ流川が教えると、彼女は言った。 「仙道君、射手座なのね…やっぱり自由で天才肌なのねぇ…」 流川には解らない事を呟く母を黙って見ると、彼女は付け足した。 「楓は山羊座よ。現実的なコツコツタイプ。バスケしてれば幸せみたいなトコも山羊座そのまんまだわ」 女性は占いに興味のある人が多いけれど、流川にはどうでもいい話だ。 「……関係ねー、オレはオレだ」 「そうね…でも仙道君みたいな子と付き合ってると、幅が広がるかもね」 母の言葉にまたチラリと彼女を見て、流川は溜め息をつく。 付き合うというのは当然友達付き合いの意味だが、それ以上の深い付き合いだと知ったらどう思うのだろうか。 けれど。 (───止められたって別れねーけどな) そう思った彼は立ち上がり、自分の部屋に向かった。 いつまでも母親に付き合ってたら、気が散って考えがまとまらない。 ドスンとベッドに腰掛けて、手でボールを転がしながら、続きを考える。 仙道は何をあげたら喜ぶんだろう? 釣りの道具とかは解らないし、本人の拘りがあるかも知れない。 浅い趣味は色々あるみたいだが、結局の処、バスケをしている彼と雄の顔をしたスケベな彼しか知らない気がする。 結局彼が喜ぶのって、流川自身だろうか……そう思ってしまって、(どあほうかオレは////)なんて首を振った。 バスケットボールをポンと放り出し、流川はゴロッと横になった。 そうして仙道の事を思いながら、いつの間にか眠ってしまったのだった。 それから流川二年の公式戦が終了し、部活は年末年始の完全休になった。 背が高いのを良い事に、大掃除の手伝いやら買い物の荷物持ちをさせられて、作って貰った料理にかぶり付く。 ふと、流川は仙道を思い出した。 こうしていつも作ってくれる母親が居る自分と、親元離れて一人で栄養バランスを考えながら作って食べる仙道と。 母親の有り難さとか、仙道と共に居たい気持ちとかが入り混じって思わず手が止まる。 すると母親が、しみじみと言うのだ。 「こうやって楓が家に居るのって、いつまでなのかしらねぇ……ボール持って何処まで走っていくのかしら、アンタは」 「……行けるトコまで行く」 母は切なさと慈愛の混じった表情で微笑んで、流川の肩をポンと叩いた。 「男なんだし、納得するまで頑張れ───ってお父さんも言ってるものね。無茶はしないでよ」 取り敢えず流川は頷いて、残りの食事を平らげた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |