仙流復活祭 Offense Heart(ラスト) 「女と付き合った事がねぇとは言わねー。告られたうちから好みだと思う女とだけ付き合ってみたけど、結局本気になれなくてさ、バスケ優先にしてたもんだから、振られたり自然消滅したりな」 そこまで言って、流川を見る。 「初めて本気になったのが、まさかのオマエだった訳だよ。ホント、解んねーもんだよな」 そう言って笑う仙道に、流川はムッとしたままだ。 なのでもう一言付け足した。 「今はおめぇだけだ。おめぇしか要らねぇ」 そこでやっと流川の表情が和らいだ。 そのくせぶっきら棒に言うのだ。 「……未来もオレだけにしろ」 仙道は目を大きく見開いた。 今日は驚かされてばかりだ。 流川が嫉妬してくれたり、自分との未来を考えてくれているのかと思ったら、感動し過ぎて言葉が出ない。 そんな仙道を訝しんで見つめたら、ぎゅうっと抱きしめられた。 「───すっげー嬉しい…!」 こんなに、流川が自分を好きでいてくれてるなんて…… 「センドー……」 呼ばれて、もう無我夢中で口づける。 タン、とベッドに流川の背中が当たり、彼の太腿を挟む形で乗っかった。 そして、熱いキスの合間に仙道が呟く。 「……夢じゃねーよな…?」 「そんな訳あるか、どあほう」 仙道は微笑んで、流川に貪るみたいに口づけた。 それからまた一戦縺れ込み、気を失うかの様に眠りについたのは、それでもまだ14日のうちだった。 早朝に叩き起こされ、朝練に引っ張り出された仙道は、(マジでスタミナつけてきてやがる…)と半ば呆れて、彼の負けず嫌いを賞賛もした。 カロリーメイトを囓って1時間1on1をして、シャワーを浴びて朝食を摂り、流川を送り出してから、仙道も学校の用意をしつつ、欠伸を漏らしたのだった。 流川はその日、直で学校に行き、案の定授業中に寝た。 以前よりスタミナを付けてきてるとは言っても、まだ負けん気で補っている部分が多いので、依然としてスタミナが課題ではあるのだ。 彼自身には異変はなかった。 あったのは……… 「ちょっとぉ、今年は流川君に直接手渡せた娘、誰も居ないんだってー?」 「そうらしいよ、逃げるみたいに居なくなったって…」 「ねぇ、それより美沙の言ってたの聞いたー?」 「そうそれ!今朝流川君が電車降りて来たの見たんだって!流川君藤沢でしょ?有り得ない〜」 「きゃー、いやーっ、バレンタインに誰かと泊まったって事?!」 「うそー、流川君に彼女?!」 「でもさぁ、女と一緒とは限んないじゃん」 「何言ってんのアンタ、バレンタインよ、バレンタイン!状況から言ったって彼女に決まってんじゃん!」 そんな風に女達を戦々恐々とさせていたのを、周りに頓着しない流川が気にする筈もなく。 とっつき難いと言われる彼に、直接確かめようとする女生徒はそうそう居らず、中にはこっそり妄想している腐女子も居たとか居ないとか。 遠巻きに噂されている事など知らぬ気に、流川本人は普段通り、バスケに打ち込んでいたと言う。 ───────THE END [*前へ] [戻る] |