仙流復活祭
身も心も(2)
それに仙道が「コイツがな」なんて応じているのに、流川はちょっとムッとする。
「……帰りたきゃ帰れ、その間にアンタを追い越す」
なんて言うものだから、仙道は苦笑した。
流川は今もよく寝るが、高校時代と比べるとスタミナもついてきて、当然練習量も増えている。
そんな彼なので、夜の営みも結局これまで通り、週一程度になっている。
取り敢えずそれを励みに付き合ってやるか…なんて、仙道は溜め息をつくのであった。
そんな訳で、生活面では可能な限り大学に行く前に夕食の準備をしておいて、疲れてやりたくなくなるのを防いでいたりする。
「全く……おめぇのお陰でド健全な生活だぜ」
「……それの何が悪い」
ぼやく仙道に無愛想に応じると、仙道は言った。
「健気なオレに、ご褒美くんない?」
「何の話だ」
仙道がそっと流川に口づけて、唇を舐めた。
「オレはさ、おめぇ程熱血じゃねーの。楽しみもねーとな」
それはクールな外見に隠れているというのは置いておく。
すると流川は訝しげに返してきた。
「バスケ…楽しくねーのか?」
仙道は目を見開いた。
スポーツなんて、決して楽しいだけではない。
苦しい事も多いのだ。
それでもそう言ってのける流川に、仙道は降参した。
クククッと笑ってしまう。
流川にとっては何が可笑しいのか解らないので、眉を顰めた。
「敵わねーな、全く……」
仙道はポンと流川の頭に触れて、グリグリと撫でた。
そうして食器を片付ける仙道の後ろ姿を見て、流川は何だか子供扱いされた様な気がして立ち上がった。
まるで躰をぶつけるみたいに仙道の背中に抱きつく。
「おわっ?! 流川…?」
背中に彼の体温を感じて顔だけ向けると、流川が言った。
「別に……避けてる訳じゃねー」
流川の言葉は唐突だったりするので、一瞬考えて納得する。
「直ぐ寝ちまうクセに…」
揶揄ってみると、流川の顔は見えないが、少し間があってから返ってきた。
「仕方ねーだろ…アンタの…体温───だから」
形容詞が抜けているが、何となく解る。
仙道はやさしく流川の手を撫でて、ゆっくり振り返った。
「オレの体温…気持ちイイ?」
「……そう…言った」
仙道は口許に笑みを浮かべ、流川の頬を捕らえて口づける。
待ちに待った週末なので、もう遠慮はしない。
「じゃ…もっと気持ちイイコト…しよーぜ」
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