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仙流復活祭
Next Step(2)
冬休みが終わると、週末ペースに戻った。
一年で一番寒い時期を越し、仙道が読めない表情で言った。

「高校最後のバレンタインだからな…多分告白してくる娘増えるぜ」
「関係ねー」

バッサリと切り捨てる流川だったが、またメンドクサイ日が来るのかと溜め息をつく。
しかし彼には、それよりも問題があった。

丁度その頃から仙道の大学は春休みに入る。
大学の春休みは長いのだ。

「最後の期末……」
「ん?」
小さくボソッと言われて流川に注意を向けると、彼は続けた。

「卒業…しなきゃなんねー……アンタ2〜3日ウチに泊まれるか?」

仙道は目を丸めた。
卒業と泊まるがどう繋がるのか考える。

「赤点取れねー」

その一言でどういう事か理解した仙道は、流川の頭をポンと叩いて撫でた。
「オレは構わねーけど、親に話したか?」
すると流川はコクンと頷く。

「ウチの親がダメだって言う訳ねー」
「そうか…だったら行くよ」
流川は小さく頭を下げた。
「………助かる」

流川は滅多に頼み事などしてこないので、自分から切り出してくれたのが仙道には嬉しかった。

そんな訳で危なそうな科目を仙道に見て貰い、何とか無事に流川も卒業見込みとなった。

そうするとこれが最後と告白してくる女生徒達に「もう決まった奴がいる」と断っていたら、あの流川に彼女が出来たと噂が広がった。
桜木が、晴子が相手ではないらしいのに半分ホッとし、半分憤慨して喚いていたのに、流川は鼻であしらって喧嘩になったりした。

お陰でその後の告白が減り、周りの騒ぎなど眼中にない流川は、相変わらずバスケ中心の生活を送った。



そしてとうとう3月の卒業式を迎えた彼は、涙を流す生徒も居る中で、表情を変える事なく淡々としていた。

最後のホームルームで実際には学期末まで籍があるから羽目を外さない様に、なんて先生が言っていたが、流川にはバスケ以外どーでもいい事だ。


「流川君」
聞き覚えのある声に振り向けば、バスケ部マネージャーの赤木晴子だ。
他の生徒達から離れた所に誘われて、何だと思ったら、彼女は思い詰めた表情で言葉にした。

「今、ね、桜木君に告白されたの」

流川は目を見開く。

「そんな事オレに話してどーする」

ここの所飛び交っていた噂に加えてその台詞だ、いかな鈍感な晴子でも、全く脈がない事を悟った。
彼女は涙を滲ませ、思い切って言った。

「あたしね、流川君の事、ずっと好きだったの。だから、最後にちゃんと心の整理したかったの」

流川は無言で視線だけを投げる。

「今までありがとう。流川君がバスケで一番になるの、ずっと応援してるから」


流川はこの期に及んで漸く、桜木花道が必要以上に自分に絡んできていた訳に気付いた。
鈍感にも程があるだろうが、ともかくもう済んだ事だ。
あのどあほうとも大学で別れるのだし、関係ねーと流川は思う。

動揺する素振りもない流川に、最早答えを貰うまでもない。
晴子の流川への恋は、ここで終わったのだ。

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