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仙流復活祭
一緒に。(9)
遅い朝に目覚めた二人は、ギリギリ間に合ったビュッフェスタイルの朝食を摂り、ホテルをチェックアウトした。
折角なので鎌倉まで足を伸ばして初詣をした。

久し振りに鎌倉散策をして、カフェレストランで昼食を摂り、約束通りそこでの支払いを流川がする。

「あと三時間位か…何かしたい事あるか?」
ごちそうさまと言った後に誕生日の当人にそう訊けば、すかさず返ってきたのがこれだ。

「バスケ」

最早笑うしかないが、それが希望であれば叶えたい。
「じゃあ藤沢に戻ろうか」

後のシャワーの事とか考えれば、家の近くが良いだろう。
頷いた流川と共にまた電車に乗った。



夕方に帰ってくる筈の息子の為のおせち兼誕生日ディナーの準備を終わらせていた流川の母は、久し振りに夫とデートをした。
元日なので開いている所はある程度限られるので、映画を観てからちょっとお洒落なカフェでお茶を飲んで、ゆっくり二人で家に戻っていく。

すると、通りすがった公園からボールのバウンドする音や地面を蹴る音がして、まさかと思って柵から覗くと、自分達の息子を見つけた。
「あらあら……」

新年早々だという呆れ半分で、折角だしと夫婦で息子達の対決を観戦する事にした。
親の贔屓目を抜いても、この二人の実力は半端ないと思う。

1on1の切れ目にベンチに座っている両親に気付き、流川が彼等に近付いた。

「何してんだ、こんなトコで」
「呆れる程バスケバカな息子の勇姿を見てたのよ。仙道君、新年早々なのに付き合ってくれて、ごめんなさいね」

「いえ…誕生日なんだし、構いません」
「家でシャワー浴びていってね。夕飯は…大丈夫なのかしら?」

仙道はタオルを首に掛け、ペコリと頭を下げた。
「…はい、流石に実家帰んないと。先に誕生祝いさせて貰ったんで、こっちこそありがとうございます」

感謝の挨拶に、本当にいい子だわーなんて母が思っていると、流川が割って入った。
「そんならもーちょっとやるぞ」
そう言ってパシッとボールを投げるのを、仙道が受け取って苦笑する。

「楓」
何か言おうとした母に仙道がにっこりと頷いて、ディフェンスの流川に近付いていく。
両親も暫く二人の戦いを見ていたが、色々準備の為に先に家に戻った。

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