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仙流復活祭
一緒に。(2)
自分との勝負を楽しみにしてくれるのは嬉しいが、彼は甘い時間を期待する事などあるのだろうかと考えてみる。
恐らくそれは不毛だろうと、仙道は諦めた。
そういう流川に惚れてしまったのだから仕方ない。
仙道も男なので、『オレとバスケ、どっちが大事なの』なんてしょーもない事は言わない。
それも含めての互いの関係だ。

そーいや昔、ちょっとだけ付き合った女達によく言われたなぁ、その台詞(女からしてみれば、それだけ寂しかったという事だろう)───なんて回想していたら、流川に睨まれてしまった。

「ドコに気ィそらしてる」

仙道は驚いて目を丸めると、プハッと笑ってしまう。
「おめぇ…ワガママだな……あははは……」

ムッとする流川に、改めて仙道は言った。
「それだけじゃねーのもおめぇの魅力だけど」

仙道はズイッと流川に近付いて続ける。
「ならおめぇだけ、見さしてくれよ…」

言うや否や口づけられて、流川の手が仙道の腕を掴んだ。
けれどそれ以上の動きはなく、口づけを素直に受ける。
仙道に体重を掛けられ、そのまま流川は腕を彼の背に回した。



そんなこんなで相変わらず午前中にみっちりバスケをして、午後にちょっと出掛けたり、部屋でゆっくりしたりセックスしたりの年末を過ごす。
そうして大晦日の午後、仙道が切り出した。

「なぁ、今年は年明けの汽笛聞きに行かねー?」
「……別にいーけど…またこっちに戻ってくんのか」

「いや…向こうで過ごそうぜ、先にホテルにチェックインしてさ」
そんな仙道をじっと見る流川に、彼は照れ臭そうに続ける。

「18の誕生日なんだから、いつもと違う事しよーぜ。スイートって訳にはいかねーけど」
照れて頬を掻く仙道に、流川はいつもの台詞で応じた。
「どあほう////」

それから思い出して流川は言った。
「オフクロに…アンタの誕生日逃したからって、何か食わせてやれって言われてる。だから昼メシ代はオレが出す」
「そうなのか?ありがてーけど、おめぇの誕生日なのにな…」
「気にすんな、それはそれだ」

仙道は笑みを浮かべて流川を抱き寄せた。

「おまえって、何かと男前だよなー」
「フン…惚れ直したか」

流川にしては意外な台詞に仙道は驚いた。
そうして彼は微笑む。

「これ以上ねぇだろうって位、惚れてるよ…」
「どあほう////」

自分で振っておきながら照れる流川の唇を仙道がやさしく覆った。
そのまましっとりと口づけ合って、やがて名残惜しそうに離れる。

「そうと決まったら、用意しようか」


クローゼットを開けて、仙道が気付いた。
「あ、おめぇ、ジャケット持ってきてねーだろ」
「は?そんな良いホテルなのか?」
「うん、だから、高級とまでいかねーけどそれなりのトコ」

今の自分に出来る限りのランクだとは言わずもがなだ。
クローゼットを見渡して仙道はうーんと唸る。
そして中から一着を取り出した。

「これなら細身に出来てっから、おめぇでも大丈夫だろ、着てみろよ」
「………うす」

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あきゅろす。
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