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パラレル物
Warmth(ラスト)
すると平次はフッと笑って声の調子を変えた。

「アホ、そう簡単にお伽話みたいに人間が違うもんに変身するかい」
「そこまでは思ってねーけど!でも実際変身する奴がここに居る訳だからな」
「これは、最初っからそーゆー種やねんか」

脚を広げて乗っかられているこんな据え膳な体勢でする会話だろうかと平次は思ったが、それも新一らしいのかも知れないと笑ってしまった。
笑い飛ばされた事で、何だか気にするのが馬鹿馬鹿しくなった新一は、平次の両方の耳を左右に引っ張った。

「イタタタっ……何すんねん」
「ムカつく」

拗ねる新一を逃がさない様に腰を押さえ、平次は真面目な表情になって訊いた。


「……オレとすんの……怖いか?」


「───怖く……ねぇよ……」
「ホンマに?もしも人並み超えてもーても?」

じっと見つめる平次に、新一は真っ赤になって目を伏せた。
そして、挑むみたいに彼は、キッと目を向ける。

「変化のない人生なんて有り得ねぇ…切っ掛けはどうあれ、オレはおまえを選んだ。半端な覚悟じゃおまえみてーな奴とつがえねぇ。……解ったか!」

怒ったみたいに言い捨てる新一のその内容に目を見開いた平次は、それはやさしく微笑んだ。

「…おおきに……」

やはり新一は自分が一生を捧げる価値のある男だと平次は思う。
彼はコツンと新一と額を合わせた。

「機嫌……直し?」
「…別に、悪くねーよ…////」

照れ屋の恋人に平次は笑みを零すと、至近距離にある唇を重ねた。
ゆっくりと互いの背に手を回し、温もりを味わう。


「おまえだけが……オレの温もりや……」
そっと囁かれて、新一はふるりと震えた。

オレも───なんて言葉は勿論声には発せられず、平次の唇の中に消えていった。



絶対に、先には死なせない────そんな風に互いを想いながら、生きている証である温もりを、もう一度二人は分かち合った。




───────THE END

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あきゅろす。
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