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パラレル物
紅色トライアングル
昔、幽霊屋敷とも噂された事のある洋館だったが、今は人も住み、それなりにメンテナンスもされている邸から、一人の美女が出てきた。
その邸の隣には、広いが丸みのある個性的な家が建っている。
そんな短い距離なので、夜に美女一人とは言え、家人が送りに出る事はなかったが、扉を開けたまま彼女が無事に隣家に入るのを見届けてはいる様だ。

彼女はちらりとその玄関を見ただけで家路に向かいながら、少し頬を染めた。
それから後ろで声がしたのが判る。

「新一、ちょお来てみぃ…えらい紅い月が出とる」
その声で彼女───志保も上を見上げると、本当にオレンジどころか紅い月が夜空に浮かんでいた。

何だかゾクッとして洋館を振り返ると、名探偵二人の姿があった。
空を眺めながらも志保の事も気にしている様で、安心感を覚えた彼女はフッと笑みを零すと自宅の玄関に到着した。

そこで郵便受けに何か入っているのに気付き確認すると、一通の封書であった。
宮野志保宛てになっているそれを裏返すと、交友関係にはない名前があった。

(…芦田野脳科学研究所?)

取り敢えず彼女は家の中に入ってから、その封を開けた。





何だか何処かに迷い込んだみたいな感覚がして、志保は何度も瞬きをした。

何処かのホテルの部屋?
そう認識した途端、艶めかしい声が志保の耳に届いた。

ビクッとして固まってしまう彼女の視線の先───部屋の奥にあるベッドの上に、とてもよく知る二人の姿があった。
但しそれは裸体で、淫らに激しくまぐわっていて、思わず動けなくなった志保は、それでもその二人から視線を外せない。

「んあっ……へ……じ……平次…っ……」

平次と呼ばれた色黒で精悍な彼に後方の局部を貫かれ、艶めかしく悶えている色白でやはり筋肉の締まった、平次に新一と呼ばれていた彼は、ベッドにのけ反り、この世の悦楽を全て得たかの様な表情をしている。

「あ、あ、あ……平次…ィ!」
「───新一…っ……!」

獣みたいな息遣いをしながらパンパンと打ち付ける動きに、昇り詰めた新一の躰がビクビクと痙攣を起こした。

「ああぁ────っ……」

手を握り合い、荒い息を整えていく二人は、淫靡だけれど至福の表情をしていた。
愛情たっぷりの夫夫生活…そんな風に感じて目を離そうとした瞬間、二人の視線が自分に向けられ、またも志保の躰が硬直した。

繋がっていた性器をゆっくりと抜いて、平次はニヤリと笑うと、片手を差し伸べたのだ。

「こっち来ィや……宮野?」

志保の瞳が見開かれる。
一瞬何を言われているのかと思ったが、新一も上半身を起こしてこちらを見ている。
平次に何も言わない処を見ると、彼も承知なのだろうか?
すると平次が更に言った。

「オレ等のコト、好きやろ?……さぁ……」


嘘でしょう?こんなコト有り得ない───そう思うのに、何だか抗えない力があるみたいに、志保はゆっくりと彼等に近付いていった。
彼等の先程の行為を見て股間が濡れている事に志保は気付いて、頬を染めた。

逃げ出したい位に恥ずかしいのに、艶やかで淫らな獣の様なイケメン二人に、志保はドキドキとときめいてしまっている。
拒まなきゃと思う理性が働くものの、とうとう平次の手が彼女の腕を掴んだ。

彼に腰を支えられてベッドに乗せられてしまい、新一に靴を脱がされる。
平次に微笑まれ、やさしく髪を撫でられ、志保は思わず彼を見つめてしまった。

そのまま口づけられ、彼女は平次の胸に手を当てて押し返そうとしたのか力を入れるが、口内に彼の舌が侵入した頃には、縋るみたいに変わっていた。

(……この人……上手……////)

そうして志保は、こんな行為が嫌ではない程この二人が好きなのだと自覚してしまった。

思わず平次のキスに酔ってしまう間に新一が後ろから手を回して、薄手の春物カーディガンの釦を外していき、スルリとそれを脱がした。

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あきゅろす。
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