お題小説 ぬるぬる(ラスト) そうして疲れ切った二人が目を覚ましたのは、昼もとうに回った午後だった。 「……おはよv」 欠伸をする平次に、新一は応えた。 「おはよーでもない時間だけどな……随分寝たな…」 「お陰ですっかり回復したわ」 (…元々絶倫だしなー) と、新一は平次を横目で見たが、流石に空腹を覚えた。 「だー……何か作るか……メンドくせー…」 「あー、もー腹ペコやんなぁ」 「出前にでもしよーぜ、出掛けんのもダリィし」 「×××屋にしようや、あっこなら腹にやさしいで」 「んじゃ頼んどけよ、シャワー浴びてくる」 ベッドを降りる新一の躰に散らばった紅い印を眺めて、平次は思った。 忙殺されない限り、きっとその痕は、消えないうちにまた濃く色付くのだろう。 通常であれば3日に一度位のペースだ。 すると不意に新一が振り向いて、ジト目で言った。 「……おまえ、何かスケベな事考えてるだろ?」 平次はプッと笑った。 「何食いたいん?」 直接答えずに話を振られた事で、当たらずとも遠からずだと確信する。 「……任せる」 「ん、わかった」 そうして新一は着替えを持ってバスルームに向かった。 脱衣所の鏡に映った自分の姿を見て、新一は淫靡な痣に頬を染めた。 けれど、きっと次は消えないうちに付くんだろーなーなんて、平次と同じ事を考えている彼は、所詮似た者同士であった。 3年以上(と言っても始めは遠距離だったが)も付き合っていれば、セックスの濃ゆさも変わってくる。 随分色んなコトする様になったよなー、なんて思って新一は頬を赤らめた。 あの絶倫男にセックスレスは、余程年をとらなければないとは思うが、同じ相手と飽きないで続くというのは、やはり互いの心掛けも必要になる。 だから未だに烈しく求められるのは、安心する事でもあった。 「……ったく、相手は一人なのに、随分経験値上がったよなぁ…」 苦笑して呟くと、新一は思い出した様に浴室に入っていった。 暖かいお湯が新一の躰を流していく。 気持ち良く綺麗になっていく躰は、それでも平次の手や舌や、肉棒の感触はちゃんと憶えているから。 (一生一緒に居るからさ……ずっと、オレを好きでいてくれよ……) 本人には絶対にそうとは言わないけれど。 きっと別の形でちゃんと伝わっているのだろう。 シャワーの音だけになった浴室で、新一は密かに腕の付け根の平次が残した痕に、そっと口づけた。 ───────THE END [*前へ] [戻る] |