[携帯モード] [URL送信]

お題小説
お題19.ざーざー
朝から雨は降っていた。
けれどここにきてどしゃ降りに変わった。

「あー…あかん、今日は泊まっていき」
「……仕方ないわね」
まだ6時だというのに外は真っ暗だ。
平次は念の為に懐中電灯を出してきた。
それと新しい乾電池と。

テレビのニュースが台風情報に変わった。
「…明日は逸れるんかいな…」
「明日の夜中位までは降るようね」
こんな時に平次の部屋に居たのは良いのか悪いのか。
すると不意に灯りが消えて、真っ暗になった。

「うわっ、マジか?!何も用意したからって、早速停電する事ないやんけ」
暗闇で文句を言いながら、手探りで懐中電灯を点ける。
「大丈夫か?」
「…子供じゃないんだから大丈夫よ」

本当は、暗闇は黒の組織を思い出して嫌なんだけど。
今は太陽みたいな平次が側に居るから。

当然窓の外の住宅全ての灯りが消えている。
志保は真っ暗な空を眺めて、思い付いた様に言った。
「…ねぇ」
「ん?」
「こんな時だから事件も起こるかしら。もし呼ばれたら貴方は行くんでしょう?」
「………行かへんよ、今は」
「どうして?」

「……停電が長引いた翌年は出生率が上がるて聞いた事あらへん?」
「災害と聞いた気もするけど」
「意味はおんなしやろ…する事なくて抱き合う人間が多いんやて」
「話なら出来るじゃない」
「ええんちゃう?セックスかてコミュニケーションの1つやし。長時間話し続けられるなんちゅーのは、芸人か極一部の関西人位やろ」

志保は笑った。
「貴方はその関西人じゃないの?」
「そこまで弾丸トークしてへんっちゅーねん」
志保はまだ笑っている。
元より大阪のトークの基準は、東とはまるで違うというのはさておき。

「それにな」
区切った平次に志保は笑いを止めた。

「惚れた女が側に居って、そこまで紳士な男なんか居てへんやろ」
それは紳士と言うより腰抜けだろう。
「……貴方も獣だって事かしら」
「今更やろ」
「…そうね」

平次は懐中電灯をベッドに向けた。
それからベッドに腰を降ろして窓を眺めた。
「何や、世界中に二人っきりみたいやな」
「明日世界が終わるとしたら誰と居たいか…なんて、ほぼ有り得ない仮定の話を一度は聞くわよね」
「心理テストにもあるからな」
志保は肩を竦めた。

「…けど、そん時はオレの側に居ってや」
「…………」

人生なんてどうなるか判らない。

(でもそうね……それが叶うならそうしてあげるわ)
けれど志保はそれは言わない。

平次は志保の手を取って引き寄せた。
そのまま抱き上げてベッドに降ろしながら口づけた。
ベッドの軋む音がして、平次が覆い被さってもう一度口づける。
さっきより淫蕩な、貪る様なキスを。


首筋から鎖骨へと唇が辿っていく。
素肌の見える肩から二の腕まで、丁寧に愛撫していった。

今日の志保は、胸から膝上位のブルーグレー無地のフレアーワンピースに同色の細い肩紐が付いて、胸部分ともう一組のやや幅広い肩紐に、ピンクのレースがあしらわれている物を着ていた。
志保がピンクを使う様になったのは、平次の為だ。
けれどそれはピンク系色白の志保の肌に似合っていた。

志保の背中を起こして、回した片手がファスナーを下ろす。
細い肩紐を落としてはだけさせると、もう一組の肩紐とレースは見せブラのものだと判った。

胸にキスをしながらワンピースを腰まで下ろし、肩紐から腕を抜く。
その際にも志保の感じる所を摩っていきながら。

「……あ…っ……」
志保の吐息が漏れ始めると、平次はブラのホックを外して緩ませた胸にキスを落としていった。

[次へ#]

1/3ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!