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平新メインストーリー
Wind and Waves(5)
携帯が鳴って、相手先を確認してそれを取った。
「はい……悪ィ悪ィ、ああ、大丈夫」
相変わらずの文句や軽口。
やはり蘭との会話は楽しい。

「今日か?…あー…」
オレは服部を見た。
目が合って、オレは俯く。
どうしよう、でもまだ当分服部は泊まってるから。
「…解った、いいぜ、11時だな?」

切ると、オレが何かを言う前に服部が溜め息混じりに言った。
「ねーちゃんやろ?ええよ、オレは適当に時間潰しとくし」
「…悪ィ…蘭にオメーが来てる事言ったら、遠山さんにバレるだろ?」

何だか妙に罪悪感を覚えた。
この言葉は本音なのか言い訳なのか、自分でもよく解らなかった。



それにしても、女の買い物っていうのはどうしてこう長いんだろう?
男にはどーにも解らない。
まぁでも、蘭が楽しそうなんで、水を注すつもりはないが。

たまたま視線を向けると、運動系のストラップが並んでいた。
サッカーを始め、各種のボール、陸上のシューズ、柔道着、それから……竹刀。
籐で編まれたその竹刀は、デフォルメされていて何処かしら可愛らしい。
オレはつい、それを眺めてしまった。

そしたら蘭が覗いてきて言った。
「サッカーボールのストラップ?可愛いね」
「えっ?…ああ、そーだな」
「欲しいの?」
「別にいらねー」
そう答えてオレは、蘭が次のコーナーを見ている時に、少し悩んでからアイツの目を盗んでストラップを1つ買った。


買い物に付き合って食事をして、夏休み開催のイベントを見た。
そして送っていった時に蘭が言った。
「ねぇ、今度海行こう?」
「ああ、いいな」
日を決めて、別れる時に蘭が小さな袋を寄越した。
「何だ?」

開けてみると、あのサッカーボールのストラップだった。
「ホントは気に入ったんじゃないかと思って。コナン君とおんなじだね」
「……サンキュ」
蘭はにこっと笑った。
「じゃあまた電話するねv」
「おー」

ビルの階段を上がっていく蘭を見送って、オレは家に帰ってきた。
家に入ると、テレビの音が聞こえるから居間を覗いてみれば、服部はうたた寝をしていた。

タオルケットを持っていって掛けてやろうとしたら、服部が目を覚ましてしまった。

「おー、お帰り」
服部は欠伸をしながら訊いてきた。
「今何時や?」
「8時半…オメー、飯食ったのか?」
「いや…何や寝てもーたわ」
「じゃあ何か食いに行こうぜ。今から作んのは億劫だろ」
「何や、ねーちゃんと食うてきたんちゃうん?」
「ああ…でも飲み物か何かで付き合うから」

そして、オレは包みを出した。
少し迷ったが、もう買ってきてしまったのだ。

「これ……やる」
受け取った服部は驚いた様だ。
そして嬉しそうに笑った。
「工藤もこないな趣味あったんか…可愛え包みやな」
ファンシーな小さい袋状の包みにリボンのシールが可愛らしく貼ってある。
「店員が勝手にやったんだっ」
服部は笑って、包みを開けた。
そして目を見開く。

「おおきに。大事にさして貰うわ…工藤に貰たんやから宝モンやv」
「…大袈裟な奴だな」

服部は早速携帯に取り付けて、嬉しそうに揺らしていた。

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あきゅろす。
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