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平新メインストーリー
7th :7(2)
サングラスを掛けて煙草を吸っている、最上段のこの場所でなければ死角になる位置から窺っている男が居る。
「そうだな…何やってんだ?こんなトコで」
「張り込んでんねやろ。普通は張ってる間、煙草吸わへんけどなー…ちゅー事は、然したる緊迫感はないんやな」
「そーゆー事じゃねーよ、あの角度っつーとこの家だろーが。何でだ?」

「……娘を心配する親心っちゅーヤツやろか」
蘭の為に新一の動向を?
「いや…だからってこういう事をする親父だとは思えねー」
二人は顔を見合わせた。

「ほな、どっちが目的なんか確かめさせて貰おか」
新一は頷いた。


そして二人は一緒に家を出た。
さり気に小五郎がついてくるのを確かめて、二股の路地で一度立ち止まった。
「じゃあな、服部」
「おー、後でな」

それぞれに別の道を歩いていく。
かなり間を空けて、小五郎はその片方を追った。


(オレかい…!)
瞬時にその理由を頭の中で検索しつつ、徐に平次は走り出して次の角を右に曲がった。
追ってくる小五郎を待ち伏せて、逃げ場をなくした彼に平次は陽気に言った。

「随分水臭いやんか、おっちゃん。事件なら協力すんで?」
小五郎は引き吊った笑いを浮かべた。
「あ、いやー、見知った奴が居るなーと思ってなぁ」
「冗談はおいといてや。張ってんの見てたんやで」
小五郎は溜め息をついた。

「済まなかったな…ゲームは終りだ。安心しろよ」
「…ちゅわれてもなぁ…」
「これ以上は言わんぞ。探偵には守秘義務がある」
平次はにんまりと笑って、小五郎の肩から背中にかけて、バンバンと叩いた。
「まぁそやろなぁ…これ以上は追求せんといてやるわ。同じ探偵の誼みとしてなぁ」

ガキが偉そーに、と密かに思った小五郎から離れると、平次はもう一度言った。
「力になれる事があったら、何時でも言うてや?暫くは東京居るし」
苦虫を噛み潰す小五郎を尻目に、平次は工藤邸へと戻った。


Yシャツの衿の裏に取り付けた薄小の盗聴機の受信体を前に、平次と新一は話していた。
「心当たりはねーのか?」
「オレの素行調査する意味がある人間か?しかもそれをおっちゃんに頼む様な奴っちゃなー…」

暫く間を於いてから、平次がぽつんと言った。
「オレの調査なら、おっちゃんより工藤に頼む方が話が早いと思わへん?」
「バーロ…んな依頼きたって受けねーよ。それにオレとおまえが親しいとか判ってる奴って、どれ位居るよ?」
平次はその言葉にピンときて言った。
「おまえと親しいから頼めへんかったんか、交流がある事自体知らへんかったんか…どっちやろ。工藤が復活してからは、おっちゃん大して活躍してへんやろ?何でそのおっちゃんなんかって考えたら……けどまだ確定にはキーワードが足りひんなぁ…」
「…………」
身内なんじゃと新一が考えた所で、聞き流していた小五郎の会話に引き戻るフレーズがあって、二人は黙った。

『おい、蘭。あの娘に調査は打ち切るって伝えといてくれ』
『えー、どうして?服部君に見つかっちゃったの?』
痛い所を突かれて、小五郎が咳払いをした。
すると平次はこめかみを押さえて言った。

「…誰だか判ったわ……ったくあの女は……」 

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あきゅろす。
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