セイントブレイド
１３
「くっそ〜、何で僕だけ」
水をがぶ飲みして鬱憤を晴らしていると、マスターが皿を拭きながら声をかけてきた。
「お客様、冒険者ですか？」
「そうだよ。しかもただの冒険者じゃねえ、英雄だよ英雄」
「英雄……勇者ではないので？」
普通、英雄というのは自分から名乗るものではない。
世界に影響を及ぼす程の功績を収め、他人から栄誉を認められた者が初めて名乗ることの出来る称号。それが英雄だ。
一方勇者というのは、自らを勇者だと信じて疑わない者が、半ば自己満足で名乗る称号。はっきり言って、別に誰が名乗っても構わないわけだ。
それを考えると、確かに僕が名乗るべき称号は「勇者」の方なのだが。
「色々事情があんだよ」
「そうでございますか」
過去を思い出し、感傷に耽るエクスカリバーであった。
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