セイントブレイド 3 「鬱陶しい、立ち退け愚民ども」 人だかりの輪の中心に凜然と立つ少女は、大きな猫目をつり上げ、民衆らを睨み付けた。 「ふん、頼むから、私の視界を汚すでない。私の視界に入ることを許されているのは、今のところペガサスとユニコーンくらいだぞ」 誇らしげな表情を浮かべ、彼女は優雅に歩き出した。 しかしその直後。 「ふぎゃあっ!」 何もないところにつまづき、豪快に転倒。 顔面を強打したようだが、大丈夫だろうか。 「……」 「え?」 「……」 「うそ」 「……」 え、死んだ? いや、転倒しただけだし、まさかそんなわけないか。 「聖光、天より下りてその輝きを示せ。願わくば屍への慈悲として、我が精神を蝕みて救命の奇跡を……キュエルリヴァイバー」 アスカロンの声。 そしてこれは、蘇生の魔法だ。 「ふう、これでよし。数分後には生き返るわ」 「やっぱ死んでたの!?」 「うん」 「即死姫ってこういうことか」 「でも彼女、レベルは凄く高いよ。500は越えてる」 「は? じゃあなんで転んだだけで死ぬんだよ」 「それがね。攻撃力1800、防御力1500、素早さ600、と高ステータス揃いなんだけど」 「なんだけど?」 「HPが2なの」 この世のレベルアップは、悪質すぎる。 [back][next] [戻る] |