なんかみんなで朝からアレェーみたいな。(上)
「…ふにゅ?」
朝日がさし、雀の鳴き声が聞こえてきそうな今日この頃。
(…どこだ?ここ……)
眠くてなかなか開かない目を擦り、ゆっくりと開けると真っ白い天井が目に入った。
さらに見渡すと、木製のいやに高級感漂う机に漆黒の本棚。
ぬぼーっと体を起こし、視界を移動させると、バルコニーのような物があり、ガラスを通じて見えるのは朝特有の澄んだ青空。
所在は目をぱちくりさせた。
(俺…なんでこんなとこにいるんだ?ってか昨日…何してたっけ…昨日…昨日!!)
「…っ!!」
きっしー。
天吹夜。
(そっか…俺は……昨日人を殺した…んだっけ)
「目が覚めたか?」
ガチャリ、と扉が開き、見るとそこにはきっしーが立っていた。
「きっしー…その…」
なんて言えばいいのか。
「きっしー…あの…な、昨日…俺…」
い、言えるわけがない。
いくらきっしーが殺人鬼だと知っていたとしても。
だけど。
言わなくちゃ。
「あ、あのな!「所在」
(コイツ俺の一世一代の勇気を踏みにじりやがった。)
だからコイツはヘタレ言われるんだかんな!
俺はジトーッときっしーを見返す。
そして気づいてしまった。
この時のきっしーは何か違っていたんだ。
所在が露骨に嫌そうな顔をしたのにも関わらず、なんとも真剣な蒼碧の目。
あまりにもまっすぐに見つめてくる軋識に、所在は微妙に居心地が悪くて、目をそらした。
「所在。俺は…殺人鬼だ」
一瞬、所在は体を強張らせる。
な…にいってんだコイツ。
「な…何朝から変なこと言ってるんだよきっしー。いきなり『俺殺人鬼ー!』って…バカじゃね?冗談もそこそこに…」
「冗談じゃない」
軋識はそう断言した後、足元を見るように顔をうつむかせた。
「俺は、冗談でもなく、可もなく不可もなく普遍もなく、どうしようもなく殺人鬼だ。そして…
そして、お前はそれを知っていた。違うか?」
「…!」
顔をあげ、軋識は真剣な表情で所在を見やる。
一方所在はというと、目のやり場を探すようにとにかく軋識から目をそらし、結局は自分の足があるところを見つめた。
「な…んだよきっしー。知ってた?んなわけねーじゃん」
「じゃあ…何でお前は俺の零崎名を知っていた?」
『軋識に怪我一つさせてみろ』
そう自分が言っていた。
そのことが頭にフラッシュバックする。
「み、見てた…のか?」
「見てた」
「…本当に?」
「本当に」
ヤッベー。俺殺人現場見られてたっぽい。
所在は苦笑いをこぼすと、あきらめたようにきっしーを見つめた。
「そうだよ。俺は全部知っていた。きっしーが零崎一賊の殺人鬼だということも、『仲間』の式岸軋騎だということもヘタレだということもな」
「まて。最後の関係ないだろ」
いい加減泣くぞコラ。
きっしーは少し表情を崩してそう呟いた。
だけど、表情はすぐに真剣さをおびてくる。
「何故知っていた?お前は殺し名の連中じゃないんだろ?」
「ああ。俺はな…。異世界から来たんだ」
………。
………………。
「はあ?」
うおおおお!!いってええええ!!俺今超痛い。
だよなー普通そういう反応だよなーと、所在はすわった目で空中を見つめた。
だよなー。異世界なんか信じるくらいなら明らかに殺人鬼信じたほうが現実味あるもん。
いや、でも真実なんだよなー。
「うん。俺も今相当痛いこと言ってることはわかってんだけどさ、でもどうしようもなく真実なんだよ」
「し…んじつっ…つったって…まず異世界ってどこだよ」
らちがあかん。
説明したいにも鞄はくなぎーん家だから持ってこようが……
「くなぎー!!」
「なんだくなぎーって!」
いきなりの所在の発言に逐一突っ込んでるきっしーをちょっとうぜえと思ってきた所在は、とりあえず舌打ちをし、ポケットから携帯を取り出そうとするが……
「ないんだぜ!!」
落としてきたようです。
「…悪い。今さっきから話が全く掴めないんだが…」
「きっしー!!おま、友に連絡したか!?」
「……。」
「…………。」
「あああああああっ!?忘れてたァアアアッ!!!!」
「ヘタレの馬鹿ァアアアっ!!!!」
交遊を深める→人殺す→連絡しない→零崎ファミリーにお世話に→くなぎー放置プレイ。
殺される。
「あわわわわわっ!!忘れてたっちゃ!殺られる。間違いなく殺られる!!」
「どーすんだよきっしー!!玖渚友の力を使えばぶっちゃけ俺等なんかそこらへんのアリのように一踏みだよ!」
「黙れっちゃ!あああっ!!どっ…どうすれば!」
やべえHE☆TA☆RE全開!(笑)
「こんなだからきっしーて面白いんだよなー」と思い、かははっと笑っていると…
ドカッ!!バキッっ!!
チュドオオオオオオオン!!!!!!
なんかドアがぶっ飛んだ。
そして…
「いまさっきのくなぎーとかいう叫び声は何なんだいッ!?大丈夫かいッ!!私の可愛い可愛いアスと弟よ!」
いやお前が大丈夫か。
「…ん?」
壊されたドアから舞い上がったほこりの中から見えてきたのは…。
針金のような細身の長身、髪型はオールバックで人識と同じ紅い目とメガネ。
そしてあまりにも似合わない割烹着。
それはまさに。
「ぜっ!!零崎双識ィイイイイ!?」
うそっ!!本物!?リアリティー!?メルタール!?みたいなまあ、よくわからない思考回路に陥った所在は、ベッドからとりあえず降り立ち、
「うぁあああにきぃいいい!!マァアアイブラザァアアアッ!!」
「わが弟よぉおおッ!!」
ブァッフゥウウウ!!
なんか二人とも駆け出し、どこぞの感動ドラマの再開シーンみたいに抱き合った。
ていうか、なんか抱き合った瞬間もの凄い音したんですけど…
「所在、あまりレンに近づかないほうがいいっちゃよ。変態が移るっちゃ。そしてレンは口から吐血しながらニヤニヤと所在を抱き締めるのをやめるっちゃ」
大丈夫じゃなかったっぽい。
何がって、そりゃ頭が。
それよりも零崎レギュラー陣に会えてうへへへへと大興奮な所在はあまりの嬉しさに双識をぎゅふーっと抱き締める。
「…っ!!アスくん!!」
「………何っちゃ」
軋識がなんかめっちゃくちゃ嫌そうに返事を返す。
いや、だってもうなんか双識の顔が変態という形態を地のはてまで越えた表情をしてるもん。
「お兄ちゃん今超幸せ!!」
…うわあ。
なんかよくわからないが、犬みたいにしっぽをブンブンふってるように見える所在が変態と抱き合っている。
なんだこの光景。てかこいつら初対面だよな。
「アス!こんな素晴らしい日はないよ!とりあえず朝ごはんを食べようか!」
「いや、ちょっと待つっちゃレン。まだ所在と話は終わってないっちゃよ」
「そんなのあとあと!さあさ!所在くん!一緒に朝ごはんを食べようじゃないか!」
「おうよ!今日の朝ごはんは何ー?」
「ハンバーグさ!」
「マジでー!」
「何っちゃ今日のって。まるで今までも一緒に食べてましたーみたいな流れは」
しかもハンバーグってお前。
しかしもうそんなきっしーの言葉は耳に入らず。
二人は意気揚々とダイニングへと向かった。
ちょ、中途半端な上にグダグダ!
中は今日中…にできたら更新したいけど希望は薄いです。
ほんとすんませっ!
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