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嵐の前の




その日千譁は自分に起きた幾つかの異変について考えていた。

最近食事の量が減った訳でも無いのにどうも何か栄養が足りていない気がする。体調も良いとは言えない。

頻繁に頭の中で知らない記号の羅列が浮かんでは消えを繰り返す。

時折静電気にしては強すぎる電流が身体から流れる。

誰にも言っていないが二年前、あの市街地戦で飲み込んでしまったオールスパークの欠片の事もある。
心配は掛けまいとこっそり自分で何度かチェックしたがその度に異常は見当たらなかった。
だからここ一年検査していなかったが一度した方がいいかもしれない。

後は…

『大丈夫か千譁』

「オプティマス」

心情の変化位だろう。
主にオプティマスに対して。
認めよう、私は彼が好きなのだと。
だが、それを伝える気は今のところ無い。
認めただけでも十分な進歩だと自分では思う。
千譁は苦笑する。

「いや、今回も敵さんは派手に暴れてくれたな、と考えてたんだ」

これも少しは気にしていたから嘘ではない。
今日も中国まで行ってきたばかりだからオプティマスも頷いてくる。

『…確かにディセプティコンの残党の動きが活発になって来ている』

厳しい表情になったオプティマス。
きっと今日のディセプティコンの言葉が気になるのだろう。

−ザ フォールン様は蘇る−

『だが私が今一番気にしているのは君の事だ』

「え…?」

『先程あんな事があったばかりだ』


一時間程前までまで千譁は格納庫にいた。

大統領補佐官…ギャロウェイ補佐官がこのNEST基地に来ていたからだ。






−−−−−−−−◆






ギャロウェイはもし政府がオートボット追放を決定したら出ていってくれるか、と言い出した。
まるで拒否権はない、と言う様に。

それに千譁は頭にきて思わず口を出していた。

「出ていけと?彼らが出ていけば安全になると?余りに短絡過ぎる考えだと私は思いますけどね」

「なんだね君は、発言は慎みたまえ」

「…申し訳ありません。お気を悪くされたようなので私は退室させて頂きます。失礼」

『千譁…』

「大丈夫、ジャズ」

近くにいたジャズが心配げに声を掛けてきたので千譁はポン、とボンネットをひと撫でし格納庫を後にした―



オプティマスはずっと心配していたのだ。

「オプティマス、私は君が思ってる程弱かないんだよ」

そう言った千譁が実はあの後落ち込む所か自室でとある作業に打ち込みホクホクしていたなんて知らないオプティマスはそれでも、と手を伸ばし千譁を掬い上げる。

「私は言いたい事言っただけだし」

穏やかな笑顔を浮かべた千譁をオプティマスはそっと包み込んだ。


『私達に、…もっと私に頼って欲しい』


「…ありがとう、オプティマス」





◆◇◆◇◆◇







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あきゅろす。
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