己に出来る事
『怪我は…ないか?』
赤い目の金属生命体。
すなわちディセプティコン。
思わず千譁は表情を険しくした。
『…彼を助けるのだろう?』
そう言って赤目が千譁を持ち上げ一瞬にしてジャズの元に連れて来た。
「ジャズ!ジャズ!!」
『オ、ネエ…チャンか』
かろうじて胴体は繋がっているが、ジャズのカメラアイからは光が失われつつある。
「ああ、大事な配線がちぎれてる…」
裂けた所からバチバチと火花が散っているのが見えて。
千譁は躊躇なくそこに手を突っ込んだ。
「…繋げないと」
ジジジッと火花は激しくなり、ゴムが焼けた様な臭いも漂い始めた。
いつの間にか千譁の手にはカバーの様なものが握られていて。
千譁はジャズの配線にその部品を付けていった。
『………生きてる?』
消えかけていたジャズのカメラアイには光が戻り始め、意識もはっきりとしてきた。
「動くなジャズ」
配線を簡単に繋いだだけだから、とジャズのボディを叩く。
その手には酷い火傷があった。
−−−−−−−−◆
ジャズの胴体を少し補強した千譁は工具を片付け、振り返って赤目をあおいだ。
一体誰なのかと尋ねようとした時、その金属生命体の体は斜めに切り裂かれた。
『がっ!!!』
『千譁達から、離れろ。ディセプティコンめ』
エアルのソードに切られたのだ。
倒れる赤目。
『大丈夫か?』
「…!―あ、うん大丈夫だから」
そう言えとエアルは頷き、目についたディセプティコンを抹殺すべく走り出して。
千譁はそれを見送ると赤目に視線を戻す。
「…助けてくれたのにな」
名前どころかお礼すら言っていない。
「お?…スパークが損傷してない?」
傷口を観察していた千譁は慌てて赤目の顔を覗き込んだ。
「生き…てる!」
千譁は再び工具を広げた。
全身全霊で恩人を助ける為に
「…名前は?」
『ビグ、ロ…』
「ビグロ、助けるから、死ぬなよ」
◇◆◇◆◇◆
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