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刀剣男士と私の本丸事情
強情なあんたの孤独



『私ね……ずっと独りだった』

誰といても、何をしていても埋まらない何かが心にはあった。

「……生き物は皆孤独なもんさ」

大倶利伽羅の手が、鼓動を確かめる様に私の胸に当てられる。

「独りで生きて独りで死んでいく」

『……そうだね』

大倶利伽羅の手に自分の手を重ねる。

『だけど審神者になってから私は独りじゃないんだなって、そう思える様になった』

いってらっしゃいとおかえりの声がする、あたたかな本丸がここにはある。

『皆は私にとって、大切な家族みたいなものなんだ』

寂しさを感じる時間は格段に減っていた。

「……だが時々、ふと思い出すんだろう?」

痛いところを突いてくる。

『……まあね』

私の心は孤独を抱えてる。
どこまでいっても、いつまでも。
これはきっとなくならないのだろう。

「あんたが孤独なことを俺は知ってる」

曇りない瞳が私を囚える。

『……っ』

その静謐さに思わず息を呑んだ。

『だから、何だって言うの』

絞り出した声が震える。

「知ってる俺には隠さなくていい」

そっと背中に腕が回された。

『隠してなんか……』

ないと言いかけて、気付く。
こんなみっももない胸の内なんて。

『……誰にも話すつもりなかったのに』

「これからは話せよ」

ぎゅうと強く抱き締められる。

『嫌だよ、かっこ悪い』

「家族だと言うのなら甘えておけ」

大倶利伽羅の胸のあたたかさが身に沁みて、思わず嗚咽が漏れた。

『っ、じゃあ家族じゃなくていい』

「強情」

暫く大倶利伽羅の胸で泣いていた。



「審神者」

ふわりと大倶利伽羅の手が前髪を掻き分ける。

「寂しいなら側にいてやる」

そのまま私の額に口付ける。

――ちゅっ。

『……びっくりした』

「だろうな」

大倶利伽羅の眉尻は心配そうにさがっていた。

『そんな顔、させたくなんてなかったのに』

「させたくないなら独りで抱え込むな」

大倶利伽羅。
彼は私の愛刀で、大切な家族だ。

『考えとく』

ごしごしと涙を拭う。

『ありがとうね』

「……礼などいらん」

素直じゃない私を、大倶利伽羅はどこか嬉しそうに見ていた。




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